大卒という学歴はもはや輝かしいキャリアを約束するものではない。業界を問わず、雇用主は以前のように学歴を重視するのではなく、実務経験や技術面の知識、問題解決能力を優先するようになっている。テクノロジーが進化するにつれ、専門職の人は競争力を維持するために絶えずスキルアップを図り、適応していかなければならない。
長年、高収入の仕事に就くには4年制大学の学位が標準要件だった。だが多くの企業がいま、学位を採用の要件とすることで不必要に候補者が絞られ、大学以外で専門知識を習得した極めて優秀な候補者を排除してしまうことを認識し始めている。
こうした変化は、専門知識が学歴よりも重視されることが多いテックやヘルスケア、再生可能エネルギーなどの高成長分野で特に顕著だ。企業は実社会での経験や業界認定資格、実証されたスキルの方が従来の大学の課程よりも即戦力となる人材を多く生み出すことに気づきつつある。
グーグルやIBM、テスラといった大企業はすでに多くの職務の採用要件から学位をなくし、代わりにコーディング課題やケーススタディ、技術評価を通じて候補者の能力を判断する方法を取っている。企業がこの採用モデルを導入するにつれ、専門職に就く人はキャリアアップへのアプローチを再考し、需要の高いスキルの習得に注力する必要がある。
雇用主が重視する主なスキルと習得方法
企業がスキル重視の採用へと移行するにつれ、特定のテックスキルとソフトスキルがますます重要になっている。以下、業界を問わず企業が最も求めるスキルと、それらを習得するための実践的な方法を紹介する。
デジタルとテックのスキル
人工知能(AI)と機械学習(ML)はヘルスケアから金融までさまざまな業界に革命をもたらしており、AIとMLの専門知識が強く求められている。
習得方法
・Coursera(コーセラ)やUdacity(ユダシティ)、Google AIなどの学習プラットフォームでオンラインコースを受講する
・ソフトウェア開発プラットフォームのGitHub(ギットハブ)でオープンソースのプロジェクトに取り組む
・ChatGPTやTensorFlow(テンソルフロー)などのAIツールを試用する
サイバーセキュリティのスキル
サイバー攻撃の脅威が増す中、企業は機密データの保護で専門家を必要としている。
習得方法
・CompTIA Security+(コンプティア・セキュリティプラス)、CISSP、CEHなどの認定資格を取得する
・TryHackMe(トライハックミー)やHack The Box(ハック・ザ・ボックス)など実践的なトレーニングができるサイトで、脆弱性を見つけて修正につなげる倫理的ハッキングのテクニックを学ぶ
データ分析とデータサイエンスのスキル
企業はデータに基づいて意思決定しており、データ分析のスキルは不可欠なものになっている。
習得方法
・データベース言語のSQL、プログラミング言語のPython(パイソン)やRを学ぶ。
・DataCamp(データキャンプ)やKaggle(カグル)などのプラットフォームのコースを受講する
・データセットを扱い、予測モデルを構築する
クラウドコンピューティングのスキル
企業がクラウドへの移行を進めるにつれ、クラウドに関する専門知識に対する需要が劇的に増加している。
習得方法
・AWS(アマゾンウェブサービス)、Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)、Google Cloud(グーグルクラウド)の認定を取得する
・クラウドアーキテクチャとセキュリティに関する実践コースを受講する
・クラウドサービスを使用したアプリケーションの展開を練習する