ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、2日に放映されたロシア国営メディアの報道番組で、米ドナルド・トランプ政権の外交政策はロシアと「一致している」との見方を示した。
トランプ大統領をめぐっては、ホワイトハウスの大統領執務室でウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と衝突したことで、対ロシア戦争におけるウクライナとの同盟関係に緊張が走っている。
仏AFP通信が伝えたところによると、ペスコフ報道官はトランプ政権について「あらゆる外交政策の構成を急速に変えつつある」が、それは「われわれのビジョンとおおむね一致している」と発言した。
さらにペスコフは、米露の関係改善に向けては「長い道のりになる。なぜなら、複合的な二国間関係のすべてが多大なダメージを受けているからだ」とした上で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトランプの現時点での「政治的意志」が「維持されれば、この道はかなり早期に成功する可能性がある」と語ったという。
米紙ニューヨーク・タイムズによれば、ペスコフの発言は2月26日のものとされる。トランプとJ・D・バンス米副大統領が28日に大統領執務室でゼレンスキーと激しい口論となり、予定されていた鉱物資源協定の協議が頓挫する前に収録されたことになる。
トランプはゼレンスキーに対し、ウクライナは「今、あまりよい立場にはない」と指摘し、「第三次世界大戦を賭けたギャンブル」をしていると非難。米国が仲介するロシアとの和平交渉について「あなたが取引に応じるか、われわれが手を引くかだ。われわれが手を引けば、あなたはとことん戦い抜くしかなくなる」と迫った。
この騒動を受け、トランプ政権はロシアと通じているとの批判が噴出している。共和党のリサ・マコウスキー上院議員(アラスカ州選出)は、ホワイトハウスが「プーチンを受け入れようとしているように見える」と非難。民主党のクリス・マーフィー上院議員(コネチカット州選出)は2日、トランプ政権は「クレムリンの片棒を担いでいる」とCNNテレビに語った。
トランプとゼレンスキーの会談決裂により、ロシアとウクライナの和平交渉の先行きは不透明となった。トランプは会談後、ゼレンスキーには「米国が関与する和平の準備ができていないと判断した」「和平の準備ができたら戻ってくればいい」とSNSに投稿した。