このダイヤモンドのコレクションは、著名な宝石商で収集家のハリー・ウィンストンの子息ロナルド・ウィンストンから寄贈されたもの。国立自然史博物館の宝石コレクション「National Gem Collection(ナショナル・ジェム・コレクション)」はそもそも、1958年にハリー・ウィンストンが、かの「ホープダイヤモンド」をスミソニアン協会に寄贈したのが設立のきっかけだ。
ウィンストン・レッドダイヤモンドとウィンストン・ファンシーカラーダイヤモンド・コレクションは、国立自然史博物館のウィンストン・ギャラリーで展示される。来館者にとっては、世界でも指折りのファンシーカラーダイヤモンドの最高級コレクションを目の当たりにするすばらしい機会となる。
「これはスミソニアン協会がこれまでに受けた寄贈の中でも、何より意義深い贈り物の1つだ」と国立自然史博物館のカーク・ジョンソン館長は語った。「ウィンストン・ダイヤモンドは、美しさと希少性において他に類を見ない。当館のナショナル・ジェム・コレクションに迎えられたことを大変よろこばしく思う」
国立自然史博物館によれば、天然のレッドダイヤモンドは地球上で最も希少な宝石の1つ。そして「ウィンストン・レッドダイヤモンドは、その中でも特別な存在だ」という。

ロナルド・ウィンストンも、「このレッドダイヤモンドは私のキャリアでも特に印象深い一品だ。これほどの宝石は他に見たことがない」と述べている。「今回の寄贈は、私が人生においてこの分野で成し遂げてきたことの証だ。このコレクションを、スミソニアン協会や博物館の来館者と分かち合えることをとてもうれしく思っている」
カラーダイヤモンドには結晶構造に取り込まれた不純物原子によって色素が生じるものもあるが、ウィンストン・レッドダイヤモンドの深紅の色合いは「地球の奥深くで非常に高い圧力と高温が加わって、結晶が変化した結果だ」と博物館は説明している。
このダイヤモンドの特徴として、現代の婚約指輪で主流のラウンドブリリアントカットよりも古いカット方法であるオールドマインカットが使われている点が挙げられる。ファセット(カット面)が大きく少ないのが特色で、この石が1900年代半ば以前にカットされたことを示唆している。ウィンストン・レッドダイヤモンドの科学的・歴史的研究結果は、GIAの季刊専門誌 「Gems & Gemology(宝石と宝石学)」2025年春号に掲載される予定だ。