Clearview AIの共同創業者ホアン・トン・ザットは、昨年12月に同社のCEOを辞任して取締役に退いた。それ以降、同社の運営を指揮している共同CEOのハル・ランバートは、先日のフォーブスの取材に対し、トランプ大統領の新政権の取り組みを支援していくと語っている。彼は、トランプ大統領の政治資金の調達活動を支援していた。
トランプ1期目の政権下では、生体認証テクノロジーを用いた監視の拡大が推進され、特に国境警備での利用が提唱されていた。さらに2期目のトランプ政権は「米国を再び安全にする」という方針の下で「史上最大規模の強制送還」を公約に掲げており、ランバートはClearview AIに大きな機会があると考えている。
「当社はすでに国防総省や国土安全保障省と話をしており、複数の政府機関と積極的な対話を進めている」と彼は述べている。
Clearview AIの顔認識ツールは、フェイスブックやインスタグラム、LinkedInなどのサイトからスクレイピングした数十億の写真をもとに構築され、監視映像から瞬時に個人の身元を特定できるものだった。このツールは米司法省や小売企業のベスト・バイ、さらには世界各国の法執行機関や政府関連機関によって広く試験運用されたが、多くの場合、外部の監視や公的な開示なしに導入されたことで、潜在的なリスクが指摘されていた。
そのためClearview AIと創業者のトン・ザットは、2020年のこのツールの公開の直後から複数の訴訟に直面し、許可なく顔写真を収集したことでプライバシー権を侵害したと非難された。
しかし、同社は今もなお60億枚の画像を保有しており、これらの画像を、特に地方警察などの政府機関のみに提供中だと述べている。Clearview AIはまた、ウクライナ政府とも契約を結び、戦死した兵士の身元確認のための顔認識サービスを提供している。トン・ザットは昨年8月、「このビジネスは年間10億ドル(約1500億円)、あるいは20億ドル(約3000億円)の継続収益を生み出せる可能性がある」とメディアの取材に語っていた。
直近の評価額は1億3000万ドル
Clearview AIの事業は、同社のツールが人権やプライバシーに及ぼす影響を懸念したバイデン政権下で苦戦したが、直近の年間経常収益(ARR)は、1600万ドル(約23億9000万円)に達したとランバートは述べている。この収益の多くは、地方の法執行機関との契約によるものという。ランバートによるとClearview AIは、まだ黒字化を果たしていないが、今年の収益を3倍に伸ばす計画だという。同社は、2021年のシリーズBラウンドで3000万ドル(約44億9000万円)を調達したが、その際の評価額は1億3000万ドル(約194億円)だった。Clearview AIの初期投資家には、ピーター・ティールの他に、ウーバーやツイッターへの初期投資で知られるナヴァル・ラヴィカントが含まれている。
「この4年間、連邦政府との取引は非常に困難だった。当社は、訴訟やさまざまな妨害に直面した。しかし、そうした問題の多くはすでに過去のものになった」とランバートは語った。
(forbes.com 原文)