経済・社会

2025.02.20 15:15

トランプ復権で広がる日本の防衛・エネルギースタートアップの役割

ドナルド・トランプ氏が米国大統領に再選されたことは、地政学的に大きな影響を及ぼすでしょう。日本のスタートアップ企業にも、多大な影響を与える可能性があります。特に日本はアジアにおける米国の最も重要な同盟国であり、地域安全保障や経済協力の面で、これまで以上に重要な役割を担うことが予想されます。こうした状況を踏まえると、今後スタートアップ企業にとっては「防衛」と「エネルギー」が重要なテーマになると考えられます。

今後を見通す上で非常に参考となるのが、三菱重工業(MHI)の泉澤清次社長が直近の決算発表後の会見で示した展望です。同社は2027年3月までに、原子力事業で30%、防衛事業で40%の設備投資の増加を計画しています。また、泉澤社長は、日本が化石燃料に依存しない複数のエネルギー源を多様に確保する重要性を強調し、原子力や水素、熱発電、炭素除去技術の導入が不可欠であると述べています。防衛についても、戦争を防ぐ抑止力としての防衛力が不可欠であると強調しています。

防衛におけるデュアルユースの促進

トランプ氏が再び政権を握れば、日本はアジア地域の安全保障においてより大きな責任を担い、防衛力の強化を求められる可能性が高まるでしょう。これは、日本政府が最近発表した「デュアルユース・スタートアップエコシステム」の構想とも方向性が一致しています。スタートアップの先端技術を防衛装備の開発に活用する「デュアルユース(両用)」を目指したこの新たな枠組みでは、防衛省と経済産業省が協力して「スタートアップと防衛産業の連携」を促進します。米国の国防イノベーションユニット(DIU)の取り組みを参考に、今後は防衛装備のニーズを集約し、それに適したスタートアップを特定することで、先端技術の開発や調達が促進されることとなっています。

また、日本は宇宙開発に力を入れているため、この分野でのビジネス機会がさらに拡大することが期待されます。1兆円規模の「宇宙戦略基金」が設立され、今後10年間にわたり日本の宇宙産業の成長を促進する計画が立てられていることからも、日本の宇宙分野への本気度がうかがえます。小惑星サンプル回収や衛星部品の技術革新など、日本には宇宙分野での豊かな実績があり、これは衛星サービスや宇宙用ロボット、宇宙探査ツールなどを開発するスタートアップにとって確かな基盤となるでしょう。また、政府は国内宇宙産業の市場規模を2030年代初頭までに倍増させる目標を掲げ、これらの取り組みを積極的に支援しています。

石破新首相が、航空機や艦船のプラモデル好きとして知られる「ミリオタ」であることも好影響をもたらすかもしれません。防衛や航空宇宙関連の取り組みを積極的に支持する可能性が高く、防衛費をGDPの2%に引き上げるという政府の公約もあるため、ロボティクスやAI、ドローン、先端宇宙技術に取り組むスタートアップにとって強力な追い風となることが期待されます。
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