エネルギー分野:原子力の復活とその先へ
トランプ氏の再任は多くの気候テック系スタートアップにとって逆風となる可能性がありますが、日本の場合は原子力エネルギーに関する専門知識の高さがむしろ歓迎されるかもしれません。トランプ氏は原子力発電に対して概ね前向きな姿勢を示しており、さらにAI革命により世界的なエネルギー需要が増加しています。これらの状況は、日本のエネルギー業界のスタートアップに新たなチャンスを生み出すでしょう。実際、日本のエネルギー業界で重要な位置を占める三菱重工業(MHI)は、大規模な増員計画を発表しており、同社の泉澤社長は2027年3月までにガスタービン事業と原子力事業でそれぞれ10%、防衛事業で40%の増員を目指すとしています。また、泉澤社長は、日本が化石燃料への依存から脱却し、原子力や水素、熱発電、そして炭素除去技術を取り入れる必要性についても指摘しています。エネルギー源の多様化が求められる中、水素生産やカーボンキャプチャー、エネルギー貯蔵などの最先端エネルギー技術に取り組むスタートアップにとっては追い風となるでしょう。
スタートアップが担う役割
トランプ大統領の誕生により、日米関係が不透明になる可能性がある一方で、日本のスタートアップには独自の新たなチャンスが生まれるかもしれません。アジア地域における米国の安全保障への関与が弱まるリスクがある中で、日本は自国の防衛力やエネルギー自立の強化を急ぐ必要性が高まっています。これに伴い、国内産業の強化を目指した新たな市場の創出が期待されます。国としての戦略的目標を達成するため、日本政府はスタートアップと緊密な連携を図る意向を明確に示しており、投資や支援を強化する政策も打ち出しています。つまり、日本が自国強化に向けた取り組みをすでに進めているタイミングで、トランプ政権が始まることになるのです。日本が変化し続ける地政学的環境に対応する中で、スタートアップ企業は今後、重要な役割を果たすことになるかもしれません。


