北米

2025.02.18 11:30

「ギャンブル依存かも」助けを求めるネット検索が全米で増加

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米最高裁が2018年に全州でのスポーツ賭博を認める判断を示して以来、米国ではギャンブル依存で助けを求める人が劇的に増えていることが米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らが行った調査で明らかになった。主な原因はオンラインを通じたスポーツ賭博の合法化にあるという。

ギャンブル依存症は疾患として認められているにもかかわらず、公的機関による継続的な調査は行われていない。だが、研究者らはグーグルの検索トレンドを分析し、自分がギャンブル依存症になっているかを調べる検索が2018年から2024年6月までの間に全米で23%増加したことを突き止めた。

調査によると、州レベルでスポーツ賭博が解禁されるとギャンブル依存で助けを求める検索が決まって増えており、オハイオ州(67%増)やペンシルベニア州(50%増)、マサチューセッツ州(47%増)で増加が顕著だったという。

調査では、オンラインを通じたスポーツ賭博の合法化が、従来型のスポーツ賭博施設の開設よりもギャンブル依存に関する検索の増加に大きな影響を与えていることが明らかになった。ペンシルベニア州では、スポーツ賭博施設の開設によりギャンブル依存で助けを求める検索が33%増加したが、オンラインのスポーツ賭博が利用できるようになった後、同様の検索は61%増えた。

同州とニューヨーク州では、オンラインのスポーツ賭博の営業が始まった翌月に、そうした検索の件数が月ベースで過去最多を記録した。

2018年5月から2024年6月までの間にギャンブル依存で助けを求める検索は全米で650万〜730万件に達し、2023年6月には月ベースで最多の18万件に達した。

最高裁は2018年5月にスポーツ賭博を規制するかどうかの判断を各州に委ねる判断を示し、ネバダ以外の州でもスポーツ賭博を解禁できるようになった。2017年にはネバダ州でしか認められていなかったスポーツ賭博の営業は2024年には38州に広がり、スポーツ賭博の賭け金の総額は同期間に49億ドル(約7400億円)から1211億ドル(約18兆3500億円)に増えた。
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翻訳=溝口慈子

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