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2025.02.06 08:00

「いずれか」と「いづれか」正しいのは?ビジネスシーンでの使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説

「いずれか」の意味とは?

「いずれか」は「いくつかある選択肢や状況のうちの一つ」「どれか一方」といった意味を指します。
具体的には、いくつか候補が存在するときにそのうちの一つを選択したり、あるいは不確定な複数の事象のうちのいずれかが該当するような場合に用いられます。

たとえば「今週の会議は火曜か水曜のいずれかになる予定です」と言う場合、火曜か水曜のどちらか一方で実施されるときなどに使われる表現です。
文法的観点からは、「いづれか」という表記は基本的に誤りとされています。「づ」は古くから使われる場合がありますが、現代仮名遣いにおいては「ず」を用いる「いずれか」が正しい表記です。


なぜ「いずれか」が正解?

「いずれ」という言葉は、「どれとは決まっていないが、候補は複数存在する状態」を表す副詞や連体詞としての使い方があり、その後に「か」が付いて「いずれか」となります。

一方の「いづれか」は、歴史的仮名遣いとして存在していた表記ですが、現行の仮名遣いでは「づ」は「ず」に統一されるのが一般的です。国語辞典などでも「いずれ」を使うように記されており、ビジネス文書や公的な書面では「いずれか」が標準的な表記です。

ビジネス文書における留意点

ビジネスの場面では、契約書や規約、案内状などで「複数の選択肢のうちの一つ」を示す際によく使われます。
文書で「いずれか」が「いづれか」となっていると、正式な書面としては誤用と見なされる恐れがあるため、意識的に正しい表記を用いることが望ましいと言えます。

ビジネスシーンでの「いずれか」の使い方

ビジネスの場では、選択を促したり、複数の条件からいずれかを満たす必要がある場合などで「いずれか」を使う機会が多々あります。以下では、主な使用例や注意点をご紹介します。

1. 選択肢を示す

「会議の日程は月曜と火曜のいずれかでご調整をお願いいたします。」
このように、複数の候補から一つを選んでもらうシチュエーションで活用されます。相手に迷惑や混乱を与えないために、候補があまりに多い場合は注意が必要です。候補日が多い場合は箇条書きにし、どれを選べばよいか分かりやすく提示しましょう。

2. 条件の提示

「資格A、Bのいずれかをお持ちの方が応募可能です。」
求める条件として複数の可能性がある場合、そのどちらかを満たせばよい場合に「いずれか」が使われます。これにより、複数の条件があるうちの一部でも充足していれば問題ないことが明確になります。

3. 不確定な要素を示す

「トラブルが起こった原因は、システム側かネットワーク側のいずれかにあると考えられます。」
まだ原因が特定されていない場合に、可能性のある選択肢を複数示し、その中のどれかが当てはまることを示すために使います。問題解決に向けて優先度を決める際には、どの選択肢がもっとも確率が高いかもあわせて検討するといいでしょう。

類義語・言い換え表現

「いずれか」は、ビジネスでも非常に便利な表現ですが、同じ表現の繰り返しを避けたいときや、より口語的・フォーマルなニュアンスに合わせたい場合には、下記のような言い換えが考えられます。

1. 「どちらか」

もっともシンプルな言い換えで、二つ以上の可能性がある場合を手軽に示せます。ただし、「どちらか」は二者択一のイメージが強いため、選択肢が三つ以上あるとやや不自然になる場合があります。

2. 「いくつかのうちの一つ」

文章をやや長めにしてでも、正確に複数選択肢の中から一つを選ぶ場面であることを明示したい場合に用いられます。「いくつかのうちの一つを選んでください」のようにすることで、口語的でも通じる表現になります。

3. 「何れか」

旧仮名遣いのまま読みを当てると「いずれか」と同義ですが、現行の表記規則ではこの書き方は推奨されていません。重要な文書や商談などのフォーマルな場面では「何れか」は避けましょう。

例文で見る使い分けのコツ

具体的にいくつか状況別の例文を挙げ、言い換えのポイントを整理します。

  • 日程調整:
    「会議の日程は今週の火曜と水曜のいずれかを予定しております。」
    → 言い換え:「会議の日程は今週の火曜と水曜のどちらかでお願いいたします。」
  • 応募要件:
    「資格AとBのいずれかをお持ちの方が応募できます。」
    → 言い換え:「資格AとBのどちらか一方をお持ちの方が応募できます。」
  • トラブル原因の特定:
    「問題はサーバーかネットワークのいずれかにある可能性が高いです。」
    → 言い換え:「問題はサーバーかネットワークのどちらかにある可能性が高いです。」

「いずれか」と「いづれか」はどちらが正しい?

冒頭でも触れたように、「いづれか」は歴史的仮名遣いとして存在しますが、現代仮名遣いでは一般に使われません。公文書やビジネス文書では誤用と見なされる恐れがあるので、正しい表記は「いずれか」と押さえておきましょう。

実際に文書を作成する際、誤変換によって「づ」と表記されることがあるため、最終的なチェックで誤りがないかよく確認する必要があります。

ビジネスで「いずれか」を使うときの注意点

ビジネスメールや提案書、会議資料などで「いずれか」を使う場面は多いですが、下記の点を意識すると相手にわかりやすい資料・文章を作成できます。

1. 選択肢の数を明確に示す

相手が候補の中からどれを選べばよいのか戸惑わないよう、候補や条件を箇条書きにして明確に伝えるとよいでしょう。
「あいまいな複数」の表現だけで終わると、相手が混乱しやすくなります。

2. フォーマルな場面での表記

フォーマルな文書では「いづれか」と記すのは誤りと判断されがちです。公的資料や契約書でも間違いのないように注意しましょう。
「いずれか」を多用する文章を作る場合は、同義語とあわせて使い分け、読みやすいバランスを保つと好印象につながります。

3. 避けられるなら簡潔に

ビジネス文書やメールでは、過度に長い文章や繰り返しの多い表現は敬遠されます。
「いずれか」を使う場合は、必要最低限の回数に留め、別の言い換え表現や箇条書きで選択肢を整理するなどして、文章全体をスッキリさせる工夫が大切です。


まとめ

「いずれか」と「いづれか」は、仮名遣いの違いによって片方が誤用と判断される場合がある言葉です。正しい表記は「いずれか」であり、複数の候補や条件のうちから一つを選ぶ・該当する意味を示します。

ビジネスシーンでは、日程調整や条件提示、未確定の選択肢など、様々な場面で役立つ表現です。誤変換による「いづれか」を使ってしまわないよう注意しつつ、必要に応じて「どちらか」「いくつかのうちの一つ」といった言い換えも活用しましょう。

相手にわかりやすく配慮しながら、正確な用語と書き方で意思疎通を図ることが、スムーズなビジネスコミュニケーションの鍵となります。

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