Forbes JAPAN 30 UNDER 30とコラボしたパネルディスカッションには、受賞者の野城菜帆(MizLinx 代表取締役CEO)と田島圭二郎(EVERSTEEL 代表取締役CEO)が登壇。「世界を変えるイノベーションに必要なこと」をテーマに意見が交わされた。
2人の起業理由は?
野城が21年に創業したMizLinxは、日本の水産業の再興を目指してIoTの海洋モニタリングシステムを開発している。カメラやセンサーで海中の映像や水温、流速、溶存酸素濃度などのデータを取得し海洋環境を可視化するシステムで、主に養殖場で活用されている。田島のEVERSTEELも同年に創業。同社は鉄のリサイクルに必要な鉄スクラップに含まれる不純物を、AIの画像認識で瞬時に検出できる「鉄ナビ検収AI」を開発している。冒頭、起業理由について聞かれた2人はこう答えた。
「自分たちが設定した課題に対して、ちょうどいいソリューションがなかったんです。水産業は私たちの生活を支える食べ物を供給している産業ですが、ITやロボットといった技術があまり入っていなかった。そこに風穴を開けたいなと思い起業しました」(野城)
「僕は実家が林業をやっているので、元々環境課題に関心がありました。大学でもリサイクル関連の研究室にも入ってたんですけど、未踏アドバンスト事業に採択されたことがひとつのきっかけになりました」(田島)
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「大学の研究って、自分が取り組んでる課題を世の中の課題だと思ってるのは自分と教授くらいなんですよ。自分は一生かけてやっていいと思ってるけど、誰かが客観的に何か言ってくれるわけじゃない。そんな時に未踏アドバンスト事業として1000万円の資金提供をいただけたことが起業への足がかりになりました」
野城も「やはり国家プロジェクトに採択されたっていうのは私含めチームメンバーにとっても自信になることでしたし、社会的にも求められているという評価をいただけたと感じたので、そこでやろうと思いました」と話し、これが大きな転機になったようだ。