初代かに看板は、太い針金で作った骨組みに麻袋を貼り合わせ、防水を兼ねたペンキを塗って作られた。中には爪と脚を動かすモーターが5つ組み込まれていた。当時はまだかに料理が一般的でなかったので、「かに料理店とわかるように白壁を砂浜に見立て、かにそのものの看板を付けよう」と考えたのが始まりだ。また、日の丸もイメージしているという。初代かに看板は、1962年から1971年までの10年間、動き続けた。

初代が老朽化し、1971年には2代目が作られた。胴体と爪と脚はグラスファイバー製となり、モーターも大型で高性能化された。

1996年には道頓堀本店の新築ビルが完成し、それにともないかに看板も3代目に引き継がれた。また、道頓堀中店、道頓堀東店にも設置され、現在、道頓堀では3つのかに看板が稼動している。

かに看板の脚は、実際のかにと同じく、看板を正面から見たときに前後に動く仕組みになっている。しかし、一部の郊外店では、遠くからもわかりやすいように、脚が上下に動くようにしてある。
かに道楽は、1960年の創業当時は「千石船」という山陰の魚介類料理の店だったのだが、1年間の営業不振の日々が続いた。それが1961年になり「かにすき」が評判となり、大繁盛店になった。このとき、漁協の協力でかにの冷凍保存技術を確立し、かに道楽の開店につながった。「道楽」という名前は、「かにで大儲けさせてもらったから、かにで思いっきり、道楽をしてみたい」という「捨て身の覚悟と無謀ともいえる熱意」が込められているということだ。
ちなみに、6月22日はかに道楽が定めた「かにの日」。占星術の蟹座の最初の日が6月22日であり、あいうえお50音で、6番目が「か」、22番目が「に」だからだそうだ。
プレスリリース