「デジタルポジティブアクション」と名付けられた取り組みには、MetaやX、Google、LINEヤフーといったSNS主要プラットフォーマーに加え、NTTドコモやソフトバンク、KDDIなど大手通信キャリアを始め19の企業と団体が参画している。
川崎ひでと総務大臣政務官は、人々の関心や注目の獲得が経済的価値になるアテンションエコノミーのもと、過激なタイトルや憶測によって作成されたコンテンツが拡散している現状を説明。打手となる「ICTリテラシーの向上には、多様な関係者が一丸となり社会的な機運を高めることが非常に重要だ」と述べた。
さらに同プロジェクトの方向性として、利用者が安心安全にサービスを使えるようにSNS事業者らが自主的に「サービス設計上の工夫をすること」や「利用者が信頼性の高い情報にたどり着きやすいような表示上の工夫をすること」などを挙げ、官民の幅広い関係者で推進体制を築いていくとした。

会長を務める憲法学者の山本龍彦慶應大学大学院教授は、日本でも昨年5月に情報流通プラットフォーム対処法が成立するなど、「有害情報の一部カテゴリーについては制度的対応が進んできている」と話した。
一方で「表現を削除させるような規制的な政策は、憲法が保障する表現の自由を過度に制約する恐れもある」と指摘。具体的な犠牲者や被害が認められる事案などについては一定の制度的対応の検討が必要との考えを明らかにしたうえで、根本的解決には利用者の意識改革とそのためのリテラシー向上が不可欠だとした。

アテンションエコノミーはSNS事業者らに大きな利益をもたらす。今春には上述の情報流通プラットフォーム対処法が施行される予定だが、法的制度と合わせ、政府がどこまで硬軟織り交ぜて企業に適切な対応を促せるのかが注目される。
※ 世界で毎年インターネット上の安全に関する啓発など様々な取組が行われる日