経済

2025.01.17 15:45

2024年の企業倒産は1万件に 2025年は債務整理の年に

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帝国データバンクの報告によれば、2024年の企業倒産は、前年比16.5パーセント増の9901件となった。3年連続で増加傾向にあり、なかでも人手不足倒産は過去最大規模だ。しかし、大企業の倒産が多かったリーマンショック後ほどの危機的状況ではないと帝国バンクは指摘している。

帝国データバンクは、負債1000万円以上の法的整理を実施した企業を対象に企業倒産件数を集計し分析した。それによると、債務の総額は2兆2197億8000万円。前年よりわずかに減ったものの、3年連続で2兆円を超えた。その約3割を占めたのがMSJ資産管理(旧三菱航空機)で、これを含む負債1000億円以上での倒産企業は10件だった。

業種別では、建設、製造、卸売、小売、運輸・通信、サービス、不動産の主要7業種のうち、不動産を除く6業種で倒産件数が増えている。とくに多いのがサービスと小売で、なかでもサービス業の広告・調査・情報サービスと、小売業の飲食店が大幅に増えている。また建設業では人手不足が直接的な影響をもたらした職別工事が過去10年で最多となる増加率だった。

倒産原因のトップは販売不振。経営者の病気や死亡は、2000年以降で最多だった。そのほか、新型コロナ禍で売り上げが減少した事業者に実質無利子無担保で行われた融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」を受けていた企業の倒産、物価高の影響による倒産が過去最多となり、後継者難による倒産も高水準となっている。

特徴的なのは、負債が5000万円未満の倒産が5919件と多いことだ(前年の17.8パーセント増)。資本金が「個人+1000万円未満」の企業の倒産が7044件と全体の約7割を占め(前年の20.3パーセント増)、中小零細企業の倒産が増加していることがわかる。

経済状況が好転する兆しはなく、追加利上げや賃上げの圧力に対応できず、今年も中小零細企業には「あきらめ倒産」や「あきらめ廃業」が広がると帝国データバンクは予測している。しかし、リーマンショック後の2009年に倒産した企業は1万3306件、なかでも上場企業の倒産が多かった当時にくらべて負債総額には3倍以上の開きがあり、まだそれほど危機的な状況ではないという。

「経営体力が限界に達した末の賃上げ難型倒産の多発」、「利益で借入金の利息が賄えず、政府や金融機関の支援で延命を続けてきた推計20万社超のゾンビ企業の淘汰もさらに進む」と同社は見ている。また、他社に事業承継を行い長年の債務を整理する企業も増えるとも予測している。ゾンビ企業などの淘汰により、日本の産業界が近代化するといいのだが。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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