今年もこの季節がやってきた。
世界経済フォーラムの第55回年次総会(通称「ダボス会議」)が、スイス時間の1月20日午後から始まる。今年のメーンテーマは「インテリジェント時代における連携」(Collaboration for the Intelligent Age)。技術の進歩と地政学的・社会的分断という2つの力が交差する時代を迎えるなか、本会合では「成長の再構築」「インテリジェント時代における産業」「人材投資」「地球環境保全」「信頼の再構築」という5つのサブテーマに焦点を合わせ、複雑に絡み合う世界の課題を解きほぐしていく。
会場となるスイスのダボス・クロスタースには、350人以上の政府首脳や900人以上のCEO、非政府組織や先住民コミュニティのリーダー、ユニコーンやテック・パイオニア、専門家など130カ国以上からおよそ3000人のリーダーが集結する。雪山に囲まれたダボスの地で、5日間の会合を通じて国境や分野を越えた信頼の構築と、よりよい未来に向けたパートナーシップの促進を目指す。
折しも、開催初日は米国でドナルド・トランプ新政権が発足する日でもある。トランプは過去2回、ダボス会議にリアルで参加している。今回はスイス時間の23日午後にライブ中継で参加する予定だ。「トランプ2.0」はグローバル経済に長期的かつ多面的な影響を与えることが予想されるなか、その発言に注目が集まる。
世界経済の先行きは不透明さを増している。世界経済フォーラムが1月16日に発表した最新の『チーフエコノミスト・アウトルック』では、チーフエコノミストの56%が、2025年の世界の景気は低迷するとの見通しを示した。
米国については目先の景気刺激策と賃金上昇への期待感から短期的な好転を予想する声が多く聞かれた一方、中国の経済成長についてはチーフエコノミストの47%が「弱い」と予測。欧州に至っては74%が「弱い」または「非常に弱い」と回答している。
今年の会合には、中国からは丁薛祥筆頭副首相が、欧州からはウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が参加を表明している。それぞれ開催2日目の21日に特別講演を行う見通しだ。グローバル経済に大きな影響力を持つ両者だけに、トランプ新時代の幕開けのタイミングで何を語るのか。こちらも目が離せない。