NTTデータビジネスブレインズは、同社が提供する請求書クラウドサービス「ClimberCloud」を導入している企業116社を対象に、電帳法とインボイス制度に関するアンケート調査を行った。対象の約6割が従業員数30人未満の企業だ。それによると、2024年11月時点での電帳法への対応状況は、48パーセントが電子取引とスキャナー保存の両方に対応、47パーセントが電子取引のみに対応、5パーセントが未対応だった。2024年1月時点と比較すると、電子取引とスキャナー保存の両方に対応した企業が10パーセントほど増え、そのぶん未対応が減っただけで、あまり変化がない。
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肝心な経理業務の効率化について尋ねると、「かなり効率化した」が3パーセント、「ある程度効率化した」が14パーセント、「以前と変わらない」が22パーセント、「逆に手間が増えた」が59パーセントという結果になった。つまり、8割以上が効率化されていないどころか、前よりも忙しくなってしまった。
以前と変わらないと答えた企業は、電子取引がほとんどなく、いまだに紙ベースの業務が主体だからだと答えている。手間が増えたという企業からは、取引先が紙ベースなので書類をスキャンして保存する手間が増えた、既存の作業に加えて新システムでの作業が増えたといった理由が聞かれた。
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また、2023年10月からインボイス制度が始まったが、それ以前から電帳法に対応する準備をしていた企業は7割強あり、インボイス制度開始当初、トラブルを経験した企業は4割程度と意外に少なかったものの、制度に対する不満や課題は多い。調査に応じた企業からは、登録番号の照合、税金の振り分けなどの事務作業が繁雑になったことや、とくに個人店の手書きの領収書などで登録番号がないなど、インボイスに対応していない取引先の問題があげられた。国の準備不足のため、国税庁のQ&Aがつぎつぎに増えていったという笑い話のような指摘もあった。
大きな法改正の後は多少の混乱があって当然だが、デジタル化の意味がわからず、設備投資の余力もなく、紙ベースのやりとりを続けている底辺の個人事業主や小規模事業者にこそ、国は「丁寧な説明」とやらをするべきだったことが、この調査でよくわかる。今からでも遅くないが。
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