だが、37歳のジョコビッチはごく親しいある人物から近い将来の引退を迫られているという。その人物とは、父親のスルジャン・ジョコビッチだ。
テニスの四大大会第1戦となる全豪オープンを前に、ジョコビッチは次のように打ち明けた。「私がこう言うことを父が喜ぶかどうかはわからない。実は、父はしばらく前から私を引退させようとしている。父は私がなぜ現役を続けるのか理解しながらも、こう言うのだ。『一体、これ以上何をしたいのか?』」
ジョコビッチは四大大会を通算24回制覇しており、12日に開幕する全豪オープンでは25回目の優勝を目指している。他方で、父親はテニスが体に与える負担や、家族をはじめとする近しい人々への影響を懸念しているという。
2022年、長年競合してきたフェデラーが男子テニス団体戦のレーバーカップを最後に引退した際、ジョコビッチは主要な大会で仲間に囲まれながら同じようなことをしたいと認めた。「どのように(現役生活を)終わらせたいか、そしていつ終わりにするかを考えている。いや、そうではない。私は『いつ』よりも『どのように』(引退するのか)を考えているのだ」
ジョコビッチは自身が四大大会に出場できると感じている限り、現役を続行する意向だとしながらも、次のように述べた。「もし負けることが多くなって四大大会での大きな壁を乗り越えるのが今以上に困難になり、(他の選手との)差がさらに広がったと感じたら、その時はもう終わりにしようと思う」
それでもジョコビッチは最近のインタビューで、今年は昨年より多くの大会に出場する計画で、「この先何年も」高い水準で戦い続けることができると信じていると語った。
ジョコビッチは全豪オープンの開幕戦で米国のワイルドカード、ニシェシュ・バサバレディと対戦する。3回戦では強力なサーブを持つ同国のライリー・オペルカと対戦する可能性があるが、今月初めに開かれたブリスベン国際では、ジョコビッチはオペルカにストレート負けを喫している。
ジョコビッチはその後も同大会で大きな試練にさらされるかもしれない。四大大会での25回目の優勝を果たすには、準々決勝で世界ランキング3位のカルロス・アルカラス(スペイン)を、準決勝で同2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を、さらに決勝では同1位のヤニック・シナー(イタリア)と、現在世界最強の3人の若手選手を倒さなければならないからだ。
だが、元トッププレーヤーの1人である米国のサム・クエリーは米テニスチャンネルに出演し、ジョコビッチが全豪オープンで優勝すると予想していると述べた。「ジョコビッチはナダル、フェデラー、マレー、(スタン・)ワウリンカを破った選手だ。そんな選手が今、それ以外の選手たちを恐れているだろうか? まさかそんなはずはないだろう」「私はジョコビッチが(全豪オープンで)優勝すると踏んでいる。(対戦相手の)抽選結果が出る前からジョコビッチだと思っていたし、抽選後もジョコビッチだと思っている。私はジョコビッチが優勝すると思っている」
ジョコビッチはこう語る。「まだ四大大会で世界最高の選手たちを倒せると感じているのなら、なぜ今やめたいと思うのだろう?」
(forbes.com 原文)