調査会社SponsorUnited(スポンサーユナイテッド)によると、ドジャースは大谷選手の入団を受けて2024年に日系企業12社と契約し、スポンサー収入は計7000万ドル(約110億円)増えた。「大谷選手効果」はドジャースにとどまらず、MLBの他の球団にも及んでいる。
SponsorUnitedのボブ・リンチ最高経営責任者(CEO)は「大谷選手が敵地で試合をするたびに、対戦相手がボルチモア・オリオールズやニューヨーク・ヤンキースなどどこであろうと、バックネットを見ると日本企業の広告を目にする」と指摘する。同社はドジャースを迎えて試合を行った球団が日本企業とのデジタルサイネージ広告契約で約1500万ドル(約23億円)の収入を得たと推定している。「つまり、多くの企業が敵地まで大谷選手を追いかけており、球団に直接、あるいはサイネージの広告枠を販売している広告代理店のVan Wagner(ヴァン・ワグナー)にお金を支払っている」とリンチは説明する。
SponsorUnitedが9日に発表した報告書によると、ジャージのワッペンやヘルメットのロゴなどの導入とともに、大谷選手効果でMLBは2024年に約3億ドル(約470億円)の新しいスポンサー収入を獲得し、リーグ全体で18億4000万ドル(約2900億円)に達した。総額は前年比で16%増、過去3シーズンで36%増だ。北米の5大プロスポーツリーグの中で、2023年シーズンのスポンサー収入がMLBを上回るとのはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の推定23億ドル(約3630億円)のみで、MLBほど急激に増えているリーグはない。
だがNFL、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)、MLS(メジャーリーグサッカー)はいずれも3年間で2桁成長を遂げており、業界の活気ある未来を示唆している。SponsorUnitedによると、NHLは「デジタル強化ダッシュボード」を導入して放送局がホッケーリンク周辺の広告を変えられるようにしたことで、マーケッターにとってより魅力的な存在となった。こうした取り組みが奏功して2024年のスポンサー収入は13億5000万ドル(約2130億円)となり、過去3シーズンの増加幅は32%とMLBを若干下回る程度だ。また、MLSの2024年のスポンサー収入は推定6億6500万ドル(約1050億円)で、他のプロスポーツリーグに引けを取っているが、新しいスポンサーシップの獲得ではライバルを上回り、新スポンサーの収入は総額の18%を占めた。