ウクライナ軍が昨年8月以来、ロシア西部クルスク州で支配する650平方kmほどの突出部の北西周縁部にあるウクライナ側の陣地に対して、ロシア軍は今月5日、戦車や装甲車およそ50両を投入した大規模な攻撃を行った。参加したのはロシア海軍の第155、第810両独立親衛海軍歩兵旅団とロシア空挺軍の第106親衛空挺師団の部隊だったと伝えられる。
この攻撃は、同じ日に突出部の反対側の北東周縁部でウクライナ軍が行った攻撃を妨害しようとするものだった可能性もある。
目的が何だったにせよ、ロシア軍の攻撃はウクライナ軍の攻撃と同様に、攻撃側にとって損害の大きいものだった。ウクライナ陸軍の第47独立機械化旅団は、ロシア軍の45人を殺害、53人を負傷させ、「ほぼ1個中隊」に相当する人員を損耗させたと報告している。
ウクライナ特殊作戦軍のドローン(無人機)チームは、ロシア軍の強襲車列の破壊を進めていった際に、第47機械化旅団の遺棄されたM1も攻撃した。特殊作戦軍がソーシャルメディアに投稿した動画には、クルスク州の雪の積もった道路に放置されたエイブラムス1両に、FPV(一人称視点)自爆ドローンが突っ込んでいく様子がはっきり映っている。
Abrams https://t.co/CgydaCclAw pic.twitter.com/GIpBpoqLDu
— imi (m) (@moklasen) January 9, 2025
失われたM1の正確な数は、地雷やドローン、ミサイルを被弾して使用不可能になったものの、完全には破壊されていない遺棄戦車を、味方の工兵部隊が回収できるかどうかで変わってくる。ウクライナ軍は、主に危険すぎるといった理由から、損傷した戦車を牽引して運び出すのが不可能な場合、ロシア軍に鹵獲されるのを防ぐためみずから破壊処分することが多い。