海があり、D/H比が地球とほぼ等しい惑星の場合、重水素核融合発電によってD/H比が数億年以内に星間物質の値を下回るまでに減少すると、キャトリングと研究チームは指摘している。
D/H比を銀河内では見られない値にまで変化させると、それは異常値になると、キャトリングは説明する。
論文によると、文明が一度D/H比を異常に低い値にまで押し下げると、このテクノシグネチャーは何十億年も存在し続けるはずだ。惑星の大気に含まれる水蒸気のスペクトルを測定することで、遠方からテクノシグネチャーを確認できるという。地球外文明が、すでに滅亡したか、どこかに移住したか、別の形態のエネルギー生産に移行したかどうかなどは関係ないと、論文には記されている。
重水素の恩恵
キャトリングによると、原子核の質量が水素の約2倍の重水素は、海水1トン当たり約35g含まれている。それでも、地球の海洋全体の大きさを考えると膨大な量だという。地球のエネルギー利用の効率化には大きな進歩が見られるにもかかわらず、実際のエネルギー消費量は、ほぼ指数関数的に増加し続けている。
過去100年を見ると、人類文明はエネルギー需要を約9倍に増大させていると、キャトリングは指摘する。個々の機器のエネルギー効率化にもかかわらず、人類のエネルギー消費量は増加の一途をたどっていると、キャトリングは続けた。
結論
人類よりはるかに技術的に進んだ地球外社会で消費されるエネルギーは、人工知能(AI)、オートメーション、ロボットや、人類の想像もつかないような技術に使われる可能性が高いと、キャトリングと研究チームは論文の中で指摘している。キャトリングは今回の取材で、核融合を利用できるようになれば、非常に長期にわたって持続するエネルギー源が手に入るため、エネルギー消費はもはや問題ではなくなると語った。気にせず好きなだけ使えばよいと、キャトリングは話した。
(forbes.com 原文)