もし彼らがその姿勢を変え、ウィチャット情報圏から脱することがないなら、相変わらず在日同胞と中国からの「ヒト」「モノ」「カネ」の流れに頼るしかない。
だが、いまの中国は先が読めないところがある。個人経営の“潤”店主が営むローカル業態の店では、なぜこんな珍しい料理を出しているのかと、筆者のような現地を知る人間には驚きではある。だが、中長期的にはこのまま続けていくのは厳しいのではないか。
ガチ中華の出現は、われわれ日本人に未知なる21世紀の現代中華料理の豊饒なる世界を教えてくれた。それは日本に限らずグローバルな現象だ。その一方で、海外で商売を続ける以上、現地化のプロセスは確実に進行する。中国式が通じない日本の飲食ビジネスの世界で、彼らは安易な現地化とは異なるガチな味覚を提供するべく、どんな手を打っていくのだろうか。興味は尽きない。
※東京ディープチャイナ研究会は、池袋のとしま区民センターで「世界探訪#10 いまアツい! ガチ中華の世界」(公益財団法人としま未来文化財団主催)というイベントを、2025年1月25日(土)から26日(日)まで開催します。内容はトークイベントやまち歩きツアー、料理教室などで、東京ディープチャイナ研究会の学生や留学生などの若い世代の人たちも登壇し、ガチ中華の魅力を語ります。ぜひご参加ください。