地球が属する銀河系(天の川銀河)は直径が約10〜20万光年。渦巻き型の銀河だが、110億光年の彼方にある銀河団には、渦巻きではない円盤状で、直径が数百万光年にもおよぶ巨大楕円銀河がある。その中心では超巨大ブラックホールが活発に活動しているにもかかわらず、新しい星が生まれない。これまでの研究では、ブラックホールの活動が活発すぎるとガスが集まらず、いわば窒息状態になっているという説がが支持されている。
早稲田大学と国立天文台の研究チームは、その問題について10年以上にわたり研究を続けてきたが、今回、従来の10倍以上の空間分解能をほこるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータを用いることで、個々の銀河の内部まで観測できるようになり、中心にある超巨大ブラックホールの活動と銀河の星形成活動とを分けて調べることが可能になった。そして、ブラックホールの活動が強いと星が作られないことを確認したのだ。
研究チームは「これまで積み上げてきた銀河形成の理解や予測に対する『答え合わせ』ができるようになってきました」と述べている。110億光年彼方の直径数百万光年の巨大楕円銀河での、銀河とブラックホールの微妙なバランス。脳が痺れるほど壮大な話で、難解だが清々しい。
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