テクノロジー

2024.12.17 16:15

世界初、「マイナス極のない」ナトリウム固体電池誕生

※本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」2024年7月6日の記事から翻訳転載したものである。


アメリカの研究者チームが、最先端の電池技術を組み合わせ、世界初となるマイナス極のないナトリウム固体電池を開発した。

シカゴ大学プリツカー・スクール・オブ・モレキュラー・エンジニアリングとカリフォルニア大学サンディエゴ校のメンバーによって行われたこの研究結果は、「Nature Energy」 に掲載された。

研究チームは、圧力をかけ、安定した固体電解質を用いることで高密度のナトリウム金属を生成するという手法を採用した。アルミニウム集電体を利用することで、効果的に、そして安定的にナトリウムをめっきしたり、揮散させたりという過程を一気に、時短に行うことができるのだ。

ナトリウムはこの世に多く存在する物質である。この新しい電池は、マイナス極をなくし、リチウムの代わりにナトリウムを使用することで、環境にやさしくコストも抑えることができる電池なのだ。

「これまでにも実は、ナトリウム電池、全固体電池、そしてマイナス極のない電池のそれぞれは存在しました。しかし、この3つの特性をうまく組み合わせたものはありませんでした」とグレイソン・デイシャー氏(カリフォルニア大学サンディエゴ校の博士候補生で、この研究の第一人者)は述べている。

今回の成功が応用されれば、グリッド・ストレージや電気自動車(EV)用の大容量かつ低コスト、そして急速充電可能なバッテリーが誕生する可能性もあるという。

現在電池に最も用いられているリチウムが、地殻中に100万分の20しか存在しないのに対し、今回の新しい電池に用いられているナトリウムは100万分の20000と、資源の豊富さという観点で、その差は圧倒的である。ナトリウムの豊富さと、リチウム不足によるリチウムイオン電池の高騰から、ナトリウムは、電池製造におけるリチウムイオン電池の理想的な代替品となっている。

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翻訳=大石月子 編集=石井節子

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