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2024.12.18 10:30

「手軽」なデジタルツインでインフラ設備点検をDX、CalTaに多分野が注目

CalTa株式会社の高見澤拓哉氏(左側)、井口重信氏(右側)にインタビュー

また、JR東日本管内には、例えば橋やトンネル、盛土などの「鉄道土木構造物」が約7500キロメートルの営業キロにわたって展開している。これら土木施設の保守点検は2年に1回は必ずすべて行われる。さらに線路や分岐器については、より短い周期で細かく検査が行われる。ここには日々果てしないほどの労力が費やされている。
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井口氏によると、場所によっては大勢の技術者がすべての管内を歩いて検査している場所もあるという。加えて線路内には毎日電車が走っているので、1日の間に検査のため割ける時間は限られる。こうした箇所においても、TRANCITYは有効に機能する。

CalTaのウェブサイトに公開されている「現地映像取得サービス」のイメージ。小型ドローンやロボットを使い、人が踏み込めない設備の点検作業を行う

CalTaのウェブサイトに公開されている「現地映像取得サービス」のイメージ。小型ドローンやロボットを使い、人が踏み込めない設備の点検作業を行う

人間が踏み込めない危険な場所の画像取得に活路

現地映像取得サービスでは、主にLiberawareが製品化した「IBIS2」という狭小空間点検ドローンが活躍する。通常は人が入り込めないような狭く危険な空間をドローンが動き回る、その撮影した動画データから3Dデータが生成されることとなる。

同社の現地映像取得サービスは、鉄道施設の保守点検に留まらず、その他さまざまなインフラ設備や建造物の点検、あるいは災害発生地域の現況確認などに活用されてきた。狭小空間点検ドローンで撮影した映像でも、実寸大の3Dデータに変換できることから、保守点検の後段にある補修の工程にも進みやすい。
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Liberawareが製品化した狭小空間作業用の飛行ドローン「IBIS2」高精細な動画が撮影できるカメラを搭載

Liberawareが製品化した狭小空間作業用の飛行ドローン「IBIS2」高精細な動画が撮影できるカメラを搭載

現地確認の「無人化」にチャレンジするプロジェクトが始動

TRANCITY導入後も、記録し続けるためにはカメラを携えて現場で動画を撮影するスタッフが必要となる。最終的には、そこをドローンやロボットを使って「無人化」するところにまで踏み込みたいと高見澤氏は意気込みを語る。

だが現在は国内でドローンを飛ばせる条件が航空法によって定められている。そのため、井口氏は鉄道施設の保守点検作業を円滑化する目的でドローンを効率よく活用する仕組みづくりを、現在も関連各所と連携しながら力を入れて取り組んでいる。

その一例が、2024年に国土交通省「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」の「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」に採択され、日本全国に広がる鉄道施設をドローンで点検調査する「Project SPARROW」という事業だ。
次ページ > CalTaのサービスを採用するクライアントは国内の大手鉄道系企業に止まらない

編集=安井克至

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