Ultracluster(ウルトラクラスター)と呼ばれるこのスーパーコンピュータは、AWSが自社開発したAI向けのTrainium(トレーニウム)チップを搭載する。このチップは、エヌビディアのGPUに匹敵する性能を目指して設計されているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は報じた。Ultraclusterは、2025年に完成予定だとAWSのコンピュート&ネットワークサービス担当副社長のデイブ・ブラウンは述べている。
評価額が180億ドル(約2兆7000億円)のAIスタートアップのAnthropic(アンソロピック)は、このスーパーコンピュータを使用してAIモデルをトレーニングする予定で、AWSからの総額80億ドル(約1兆2000億円)の投資を受けて、Trainiumのテクノロジーの改良にも共同で取り組んでいるという。
AWSはまた、エヌビディアとの提携で2万個以上のNvidia Blackwell GPUを搭載したProject Ceiba(プロジェクト・セイバ)と呼ばれる別のスーパーコンピュータも開発中という。
アマゾンは、これらの発表に加えて、より高度なTrainiumチップを搭載したAIプログラムのトレーニング向けのクラウドサーバーであるUltraserver(ウルトラサーバー)のリリースも発表した。さらに、アップルも自社のAIテクノロジーである「Apple Intelligence」にTrainiumチップを採用すると、同社の機械学習&AI部門のシニアディレクターのブノワ・デュプランが3日に発表している。
AWSはAIテクノロジーの初期段階からこの分野で活動しており、AIの需要拡大に対応するためのデータセンターや製品ラインに多額の投資を行っている。同社はまた、生成AI分野においてOpenAIのような大手に対抗するために、アンソロピックとの関係を2度にわたる40億ドル(約6000億円)の投資を通じて強化している。アマゾンは、自社開発のTrainiumチップを従来よりも低コストで効率的な選択肢として提供することでこの分野での地位を高めようとしている。
「現状のGPU市場における顧客の選択肢は、エヌビディアのみとなっているのが実情だ。当社は、顧客に複数の選択肢を提供することが歓迎されると考えている」とAWSのマット・ガーマンCEOはWSJに語った。
OpenAIやアンソロピックのような生成AI企業が使用するAIモデルは、膨大な電力とエネルギーを必要とする。これらのモデルは、高度なアルゴリズムを用いて大量のデータを処理するため、最新かつ高性能なGPUを必要とする。エヌビディアは、この分野の需要の急拡大を受けて、売上を大きく伸ばし、市場のリーダーとしての地位を確立した。同社の現在の時価総額は、3兆4300億ドル(約514兆円)を超えている。
(forbes.com 原文)