Canva(キャンバ)は、ユーザーがAIを活用しながらビジネス書類を作成したり、ホワイトボードにWebサイト、プレゼンテーションなど多彩なツールが使えるビジュアル・コミュニケーションのための統合アプリだ。10月には独自の生成AIツールである「ドリームラボ」の提供も始まり勢いを加速させた。今回、共同創業者兼CPOであるキャメロン・アダムス氏にドリームラボのAIを仕事や創作に活用する方法と、今後のCanvaの展開を聞いた。
ビジュアル・コミュニケーションに注力したオールインワンツール
Canvaは2013年にオーストラリアのシドニーで創業した。誰にでも簡単に使えるデザインツールを提供することで、世界中の人々に「デザインする力」を与えたいというコンセプトからアプリケーションが生まれたのだとアダムス氏は振り返る。
グラフィックデザイン、Webデザインなど視覚表現のツールを使いこなすためには、一般に長い時間をかけた訓練が必要とされている。かたやテキスト中心のドキュメントにイラストや写真を添えてデザインの要素を加えれば、より多くの情報が直感的に伝わる。
Canvaは創業当時、SNSによるコミュニケーションをカスタマイズするためのグラフィックやフォント、種類豊富なテンプレートなどの提供から始めた。以降10年以上をかけて、Canvaはソーシャルメディアだけでなく、Webサイトやビジネス・教育向けのプレゼンテーション、ビデオに印刷物のグラフィックデザインなど、現在はプロフェッショナルも活用する「使えるツール」を幅広くCanvaアプリに揃えた。
クリエイターに限らず、すべてのビジネスパーソンの仕事に役立つホワイトボードの機能。AIを活用した分類・要約や、リアルタイムでアイデアを共有できるインタラクティブなリアクション付箋を搭載する
Canvaのアプリにはデスクトップとモバイル向けがある。それぞれ無料のトライアルを試せるが、有料のサブスクリプションプランにはさらに充実したツールが揃う。有料を基本とするプランは大別すると3種類に分かれている。個人のプロフェッショナルクリエイター向けの「Canvaプロ」、小規模のチームによるコラボレーションを想定した「Canvaチーム」、そして今夏に新しく加わった1000人以上の大企業向けの「Canvaエンタープライズ」だ。ほかにも教員・学校、NPO向けのプランも別途用意する。現在のCanvaの月間アクティブユーザー数は2億2000万人を超え、年間売上高は25億ドル(約3860億円)に到達した