宇宙

2024.11.28 10:30

かつて「星雲」と呼ばれたアンドロメダ銀河 ハッブルの発見から100周年

地上から撮影したアンドロメダ銀河(M31)の全体像(ESA/Hubble & Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Davide De Martin (ESA/Hubble))

地上から撮影したアンドロメダ銀河(M31)の全体像(ESA/Hubble & Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Davide De Martin (ESA/Hubble))

アンドロメダ銀河(M31)は、私たちが暮らす銀河系(天の川銀河)の最も近傍にある大型銀河だ。地球からの距離はわずか250万光年で、約1兆個もの星が集まっているといわれる。

だが、最初からそう考えられていたわけではない。ちょうど100年前の1924年11月23日、当時35歳だった米国の天文学者エドウィン・ハッブルが画期的な発見を米紙ニューヨーク・タイムズに発表した。それまで天文学者に「アンドロメダ星雲」と名づけられていた、夜空にぼんやり光って見えるこの天体が、実は銀河系の中にある星雲ではなく、外にある天体だと主張したのである。実際、それはおびただしい数の星で構成された、別の銀河だった。

NASAの紫外線観測衛星GALEX(Galaxy Evolution Explorer)が撮影したアンドロメダ銀河(M31)。青色は遠紫外線、オレンジ色は近紫外線を表している(NASA/JPL-Caltech)

NASAの紫外線観測衛星GALEX(Galaxy Evolution Explorer)が捉えたアンドロメダ銀河(M31)。青色は遠紫外線、オレンジ色は近紫外線を表している(NASA/JPL-Caltech)

その日を境に、宇宙のスケールはそれまでの認識より劇的に拡大し、今なお広がり続けている。1929年にハッブルは、すべての銀河が地球から遠ざかっているように見えること、その速度は地球との距離に比例して増すことを発見した。すなわち宇宙は膨張しているのである。アルバート・アインシュタインの方程式は正しかったというわけだ。

銀河同士の衝突・合体

今では、アンドロメダ銀河は天の川銀河とよく似た渦巻銀河であり、天の川銀河の最も近くにある巨大銀河であり、やがて天の川銀河と衝突することまでわかっている。2つの銀河は時速40万kmで互いに接近しており、約40億年後には私たちの銀河系がアンドロメダ銀河に飲み込まれるだろう。

もっとも、その頃には太陽は主成分の水素を使い果たし、赤色巨星へと膨張して地球を飲み込んでいるか、そこまで至っていなくとも海を蒸発させてしまっているはずだ。また、銀河同士が衝突しても、星と星の距離は非常に離れているため、星同士が衝突する可能性はほとんどない。

天の川銀河と隣接するアンドロメダ銀河が衝突合体する直前の夜空の想像図。衝突のコンピューターモデリングを基に作成(Science Illustration: NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), and A. Mellinger)

天の川銀河と隣接するアンドロメダ銀河が衝突合体する直前の夜空の想像図。衝突のコンピューターモデリングを基に作成(Science Illustration: NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), and A. Mellinger)

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翻訳・編集=荻原藤緒

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