人間の神経系は、周囲の環境が自分にとって安全なのか危険なのか、常に精査している。ただ、脅威があると判断したとき、それが現実のものか想像上のものか区別できないことが、問題なのだという。
つまり、私たちが心配したり、何かについて考えを巡らせたり、不安になったりするとき、神経系はそれを脅威と解釈し、ストレス反応を起こしている。イリノイ州を拠点に活動する心理療法士のローレン・ファリーナは、「私たちの体は自分自身にストレスを与える思考と、実際にストレスをもたらす出来事に対し、同じように反応しているということだ」と説明する。
以下、このところ特にストレスや不安を感じているという人のために、それらを軽減するための方法として専門家が勧める10のテクニックを紹介する。
1. ペース呼吸
ペース呼吸は、意識的にゆっくりと、穏やかに、リズミカルに呼吸をすることによって「地に足がついたような感覚」を得るグラウンディング・テクニックのひとつだ。深い呼吸は神経系に、「安全な状態にある」とのサインを送ることになり、「闘争・逃走」反応が起きた状態から体を解放するとされている。よく知られているペース呼吸の方法には、ボックス呼吸、4-7-8呼吸、片鼻呼吸、口すぼめ呼吸などがある。
2. ジャーナリング
眼球運動を通じてトラウマ体験の記憶の処理を促すブレインスポッティング(BSP)とEMDRが専門の心理療法士、ジャネット・ベイラムヤンによると、ジャーナリング(日記などを書くこと)は、ストレスの原因となっている可能性がある自らの感情を表現し、処理するための安全なスペースを作ることになる。それは、過去の研究でも示されているという。また、文章を書いて記録することは、内省や問題解決と関連のある脳の前頭前野を活性化することにもなる。
3. ウォーキング
運動は、軽度~中程度の不安症には投薬治療やセラピーと同様の効果をもたらすとされている。1日わずか10分でも、違いを感じることができるという。また、歩くというリズミカルな動きは「両側同時刺激」を伴い、過活動になった脳の扁桃体(ストレス反応をコントロールし、感情の処理を助ける)を落ち着かせ、感情をよりよく調整することに役立つとされている。
そのほか、日光は気分を高揚させる神経伝達物質のセロトニンとドーパミンの分泌を促すことから、屋外でのウォーキングは特に効果的だとされている。