バイデン政権はATACMSを使ったロシア領内への攻撃に関して、クルスク州でのウクライナ軍の防衛を支援する目的では承認したが、クルスク州方面以外では引き続き禁止していると伝えられる。攻撃目標になったブリャンスク州の兵器廠に、クルスク州で戦う5万人規模のロシア軍部隊用の弾薬が保管されていたのは間違いない。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日、核兵器の先制使用のハードルを事実上引き下げた。ATACMSに関する米国の方針転換を受けた措置とみる向きもある。
また、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ロシアによる2022年2月以来のウクライナ侵略に対する国際的な対応を「ロシアに対する西側の戦争」と呼んだ。笑止千万である。
バイデン政権はロシア側の見方を一蹴した。米国防総省のサブリナ・シン副報道官は記者会見で「われわれはロシアとロシア戦争をしているわけではない」と述べ、「別の外国を戦場に引き入れ、この戦争をエスカレートさせ続けている当事国はロシアだ」と批判した。
ロシアは米国がATACMSに関する方針を変更することを1カ月以上前から見越し、クルスク州内やその周辺の最も攻撃を受けやすい施設に土塁などの防護物を足し始めていたらしい。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるTatarigamiは「ロシアが10月上旬からクルスク軍用飛行場(クルスク・ボストーチヌイ空港)の防護を強化してきた証拠がある」と報告している。
もしロシアがブリャンスク州の第67兵器廠の防護も強化していたなら、19日に何千個と降り注いだ可能性がある子弾の効果を鈍らせたかもしれない。
(forbes.com 原文)