ビッグフットに負けないくらい魅力的なアメリカグマ
アメリカグマは驚くべき適応能力をもち、カナダからメキシコまで、北米大陸の広範囲に分布する。動物界で屈指の優れた嗅覚をもち、1.6km離れた場所の食料を嗅ぎ当てることができる。近縁のホッキョクグマとは異なり、アメリカグマは雑食だ。食性は多彩で、小動物だけでなくベリーやナッツ、昆虫なども食べる。手軽な食事を求めて、人里のゴミ箱やキャンプサイトを漁ることで悪評を得てもいる。
アメリカグマは木登りがうまく、高い木の上にいるところがしばしば観察される。このような場所では、捕食者や詮索の目から逃れて安心できるのだろう。立派な体格の割に、アメリカグマは概して臆病で、通常は人との接触を避ける。たいていの場合、人と遭遇した場合は自分から逃げていくが、脅威を感じたり、子グマを連れていたりすると、自衛のための攻撃に出ることもある。
アメリカグマは、食料が乏しくなる冬の間を冬眠してやり過ごす能力もそなえている。冬ごもりの間、彼らは心拍と代謝を大幅に下げ、何カ月も断食したまま生きつづける。驚くべきことに、メスはしばしばこの期間に出産し、冬ごもりを続けながら、巣穴の中で、生まれたばかりの子グマに授乳する。
ついにビッグフットの正体判明?
ビッグフットに魅了され、正体を突き止めたいと多くの人々が願うのは、これからも変わらないだろう。しかし、2009年8月に学術誌『Journal of Biogeography』に掲載された論文でも、この未確認動物の目撃例のほとんどはアメリカグマの誤認である可能性が高いと指摘されている。アメリカグマは立派な体格、ぼさぼさの毛、直立姿勢など、伝説のビッグフットに通じる特徴を多くもっている。アメリカグマの本来の行動や特徴を知り、理解しておくことで、謎めいた目撃例の多くは説明がつくだろう。
そんなわけで、次にビッグフットの目撃証言を聞いたり読んだりした時は、アメリカグマが、アメリカグマらしく振る舞っていただけかもしれない、と思い出そう。彼らは大自然に溶け込み、私たちの想像をかき立てる存在だ。あるいは、こんなちょっとした韻文を唱えるだけでもいい──「ビッグフットがいたら、それはクマかもしれない(If Bigfoot is there, it could be a bear 訳注:thereとbearが韻を踏んでいる)」
(forbes.com 原文)