しかし、日本に関してより大きな問題は「国内景気が精彩を欠き、外需も弱いため、雇用情勢が向こう数カ月、軟調に推移する可能性が高い」ことだとアングリックは指摘する。日本では「国内の賃金の伸びが過去2年間、インフレ率を下回り、家計は出費を手控えている」と説明している。
衝撃的な選挙結果を受けて日銀の政策をどう舵取りしていくかは植田の手に委ねられている。英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアアナリスト、シエターン・ハンサクルは、日本での「政治の不透明感の高まりは家計や企業の信頼感も損なうだろう」と予想し、「その結果、内需の回復に支障が出るおそれもある」と警鐘を鳴らしている。
アジアで最も安定した民主主義国の政治が混沌としてくるなか、日銀の金利正常化に向けた道のりもさらに険しくなるかもしれない。
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forbes.com 原文)