独自トークンは92%の下落
ハルピンが設立したニム・テクノロジーズは、現在約50人の従業員を抱えており、今年8月にまだベータ版のNymVPNを発表した。ただし、このツールは現時点では速度が遅いという問題を抱えている。フォーブスがNymVPNを使用してビデオチャットを行ったところ、画面が頻繁にフリーズし、ページの読み込みに30秒以上かかることが確認できた。同社は、この問題が「匿名性を速度と引き換えにした結果だ」と述べているが、速度を向上させるためにデータパケットをより効率的に整理し、ハードウェアを活用する方法を見つけようとしている。
また、ニム・テクノロジーズが直面する別の大きな問題が、独自の暗号資産の価格の下落だ。Nymのトークンは2022年4月に立ち上げられて以来92%も低下している。さらに、2023年10月にはベンチャーキャピタルがNymのために3億ドル(約456億円)のイノベーションファンドを設立したにもかかわらず、Nym上で実行されているアプリケーションはほとんど存在しない。
DePINセクターは、2020年以降に1746件の取引で168億ドル(約2兆5660億円)以上を集めているが、まだほとんど成功事例を生み出せておらず、唯一の成功と見なされているプロジェクトは、世界中にワイヤレス5Gの接続を提供することを目指すプロジェクトのHelium(ヘリウム)だ。
このサービスは、ホットスポットを運用し、エリアカバレッジを提供するユーザーに報酬としてネイティブトークンを提供している。しかし、Heliumは、その短い歴史の中で独自のブロックチェーンから、時価総額が約720億ドル(約11兆円)のSolana(ソラナ)に移行したことで、インサイダーへの利益供与の疑いが浮上している。また、このプロジェクトのトークンのHNTは2021年の最高値の54.88ドルから88%も下落しており、ネットワークは1日に約5000ドル(約76万円)の手数料しか生み出していない。
それにもかかわらず、ハルピンと彼のチームは、より優れたプロダクトを生み出そうと奮闘している。「VPNテクノロジーの最大の問題の1つは、ビジョンの欠如であり、人々は同じものを作り続けている」と、同社のセキュリティ顧問を務めるチェルシー・マニングは語った。
(forbes.com 原文)