私たちは、ウォルグリーンの今四半期における収益が349億ドル(約5兆2220億円)、EPS(1株あたりの純利益)は0.38ドルになると予想する。一方、市場の予想はそれぞれ357億ドル(約5兆3420億円)、0.36ドルだ。
このところ米国の消費者心理は冷え込んでおり、小売業者である同社には逆風が吹いている。そのため、同社は前四半期に通期の業績見通しを下方修正した。さらに、オンライン薬局や消費者への直接販売プラットフォームの台頭は、ウォルグリーンの事業にとって脅威となっている。こうした要因が重荷となり、株価は年初来で約66%下落している。
はたして、この下落局面(しばしば相場格言で「落ちるナイフ」と表される)でウォルグリーン株を購入するのは賢明だろうか?
4Q決算の動向を占うトレンド
ウォルグリーンは、薬価のインフレと薬局サービス市場の成長から引き続き恩恵を受けるだろう。プライマリーケアを提供するヘルスケア部門はここ数四半期好調で、この傾向は続くと予想される。英国で展開するドラッグストアのブーツなど、同社の海外部門も若干の成長が見込まれる。その反面、米国の高いインフレ率が消費者心理に重くのしかかるなど、マクロ環境は依然として厳しく、私たちは今四半期は前年同期よりも収益が微減すると予想している。同社はコスト削減と利益率の改善にも注力しており、今年だけで10億ドル(約1495億円)のコスト削減を目標とした活動に取り組んでいる。しかし実際には、調整後の営業利益率は今年に入り1%悪化しており、今後も利益率には下方圧力がかかることが予想される。
直近の業績動向
ウォルグリーンの第3四半期の売上高は前年同期比2.6%増の364億ドル(約5兆4455億円)で、主にVillageMDの買収により収益が増加した米国のヘルスケア部門(前年同期比8%増の21億ドル)が成長を牽引した。リテール・ファーマシー(小売薬局)部門の収益は前年同期比2%増の285億ドル(約4兆2637億円)、海外部門の収益は前年同期比3%増の57億ドル(約8529億円)であった。この増収は主に、取り扱い処方箋枚数の増加と薬価のインフレによるものである。営業利益率は2023年度第3四半期が2.4%だったのに対し、2024年度第3四半期は1.4%となった。その結果、調整後のEPSは0.63ドルとなり、前年同期の1.00ドルから約37%減少した。また、第3四半期決算発表で同社は通期の業績見通しを下方修正し、調整後のEPSが従来見通しの3.20~3.35ドルから、2.80~2.95ドルとなる見込みだとした。