サブマリナー(潜水艦乗組員)を集めるためのサブレディット
今回の新ゲームは、非従来型のメディアを通じてZ世代の心を動かすことをめざす米軍による取り組みの最新例にすぎない。2021年には、米空軍が総力を挙げて、高額の予算が費やされたハリウッド超大作のトレイラーを思わせる1分の動画を公開した。このキャンペーン動画は、フェイスブック、ツイッター、Pinterest(ピンタレスト)、YouTubeにアップされた。2年前には、米陸軍の特殊作戦部隊が制作した別のキャンペーン動画がSNS上で公開され、ビデオゲームやデビッド・リンチの映画のトレイラーのようだとたちまち評判になった。2024年に続編が公開されたこの「ゴースト・イン・ザ・マシン(Ghost in the Machine)」キャンペーンは、心理戦(サイ・オプス)に興味をもちそうなZ世代を勧誘するためのものだ。
2024年春に2作目が公開されたときには、ノースカロライナ州フォート・リバティにある第4心理作戦群(空挺)が、「通常の軍の広告キャンペーンではない」と認めている。
米海軍のサブ・レディット・ハントも同様の流れだ。陸軍の第4心理作戦群が、航空機から飛び降りたり、ヘリコプターからファストロープ降下したりしたい人を探していたわけではないように、海軍も、昔ながらの「海軍に入って世界を見よう」キャンペーンとは別の路線を行こうとしている。むしろサブ・レディット・ハントは、ちょっと違う視点から世界を見ているかもしれない人を引き寄せるためのものだ。
マーケティング・コンサルティング会社、Enderle Group(エンダリー・グループ)のテクノロジー業界担当アナリスト、ロブ・エンダリーは、「需要が高まり、不足する一方のスキルセットを発見するには興味深い方法だ」と語る。
「ゲームを活用し、潜水艦でソナー・オペレーターが直面するたぐいの問題解決に関して独特な強みをもつ人たちを割り出すというのは、自分の生来のスキルを活かせる職をわかっていないかもしれない人を探し出せる創造的な方法だ」とエンダリーは続けた。
「そうした活動に関心をもつぴったりのオーディエンスに浸透できるとすれば、驚くほどの成功を収められるだろう。また、こうした手法は、特定の独特な職種に適した優秀な従業員を見つけたい民間業界でも使えるかもしれない。この手の革新的な発想は、概して軍では見られないものだ。こうした動きは軍の強化につながるはずなので、もっと見られるようになることを期待したい」
この取り組みは、二つの大きなトレンドと同じ方向性を持っていると言えるだろう。
「第一に、このアプローチでは、Z世代の特性が認識されている。つまり、Z世代の多くはもはや、テレビや印刷媒体といったプラットフォーム上のニュースや広告を視聴していない」。ミシガン大学情報学部の情報学教授で、学務担当副学部長のクリフ・ランプ博士はそう話す。
「一方で彼らは、デジタルプラットフォームにはどっぷり浸っている。最近の研究の知見によれば、この世代の80%超が、デジタルプラットフォームを使ってニュースにアクセスしており、多くはレディットなどのアグリゲーターを経由している」とランプは述べる。
第二のトレンドは、新兵候補が示す能力を測るために、軍がゲームを利用するという点にあるだろう。
「こうした発想はかなり以前からあり、各機関は『ワールド・オブ・ウォークラフト(World of Warcraft)』や、ある種の戦闘ゲームを使って、さまざまな能力をテストしている」とランプは続けた。「ゲームはしばしば、問題解決やチームワーク、忍耐力などのスキルの優秀さを、行動を通して示し得る手段になる。それらの能力は、このケース(軍)を含むあらゆる雇用主にとって重要なものだ」
(forbes.com 原文)