こうした兵器販売の歴史は、少なくとも1970年代までさかのぼる。1970年代、キプロスを巡るギリシャとトルコの争いでは、両軍によって米国の兵器が使用された。この現実が1978年、米国連邦議会で武器輸出管理法(AECA)が可決されるきっかけの一つとなった。
2019年にはトルコで、米国から供給されたトルコの空軍機が、米国が訓練し武装させたクルド人反体制派を空爆した。
米国の兵器が紛争をあおるのは、それが双方に渡るものであれ、一方に渡るものであれ、いつものことだ。筆者は、米シンクタンク、クインシー研究所の一員として執筆した2022年12月の文書で、米国は当時、世界で起きている紛争の3分の2以上で、どちらかの当事者に兵器を供給していたと報告している。
この報告の数字には、米国の兵器が敵対国の手に渡ったケースは含まれていないが、過去には、イラク、アフガニスタン、イエメンの戦争でそのようなことが起きている。とりわけ衝撃的なのは、ソビエト連邦の占領軍と戦うアフガニスタンの過激派組織に米国が供給した兵器の一部が、最終的に、ウサマ・ビン・ラーディンとその仲間によって結成されたアルカイダの手に渡ったことだ。また、イスラム過激派組織「ISIS」は2014年、イラクに侵攻したとき、イラク軍から大量の米国製兵器を奪った。
米国の兵器供給が、世界中で「安定要因」になっているという主張を厳しく検証する時期は、とうに過ぎている。これまでの歴史は、その逆を示唆している。中東で起きている現在の戦争は、方向転換の機会をもたらすものだ。戦争兵器の販売は、平和と安定を保証するものではない。より多くの戦争を引き起こすものであり、悲惨な人的損害を伴うのだ。
(forbes.com 原文)