危機脱出のための「探究」型キャリアデザイン
「探究」とは、自分の好奇心・関心に基づく「探究テーマ(問い)」を設定して、仮説を立てながら、情報を集めたり、実験をしたりしながら物事の本質について明らかにしていく営みである。近年では学校教育でも重視され、高校では「探究」の時間が必修となっている。私は、不確実な現代社会において、「探究」こそがキャリア形成の鍵になると考えている。
これまでのキャリアデザインといえば、いわゆる「X年後の目標」を定義して、自分の限られたリソースを「選択と集中」で戦略的に投資して、自分をなりたい姿に計画的に近づけていく方法が主流だった。
しかし不確実で変化の激しい現代、もはや3年後の目標を設定することすら「無理ゲー」に近い。私自身、ベンチャー企業の経営者として「中期経営ロードマップ」などをそれらしく語ることはあるが、自分自身が数年後にどんな人材になっていて、何に面白がっていて、何に悩んでいるのかなど、まったく想像がついていない。
であれば、私たちがとるべきスタンスは、未来から逆算する合理的思考を捨てて、“今ここ”にある好奇心に基づいて、探究的に生きていくことではないか。その手立てとして、私は「今関心があること」を「探究テーマ」として掲げて、キャリアの指針にする生き方を推奨している。探究が進んだら定期的に「振り返り」をして、探究テーマを更新・修正していく。そんなふうに“今ここ”の関心を育てながら、気づいたら豊かなキャリアが積み重なっていた。そんな「野生」を取り戻すべきではないだろうか。
私はいま音声プラットフォーム「Voicy」のチャンネル「安斎勇樹の冒険のヒント」で探究の方法論を日々発信しているが、その過程で見えてきた試論を「探究型のキャリアステージ」として以下のようにまとめている。