食&酒

2024.10.10 12:15

ロシアの制裁が生んだ奇跡 モルドバワインの逆襲

ワインコンクール総なめ、次に狙うはアジアそして日本

2023年には、モルドバワインの輸出先が80カ国以上に拡大し、EUが主要な輸出先となりました。これにより、モルドバワインは国際市場でのプレゼンスを大幅に高め、品質の高さと多様な品揃えで評価を得ています。2023年には24のコンクールで受賞、そのメダルの数は6500個と東欧ワインの中で最も受賞を獲得しています。今年3月には都内でモルドバのナショナルブランドでもある社団法人Wine of Moldova Japanが(代表遠藤エレナ氏)設立。ローンチパーティーには日本の政界からもVIPが呼ばれ、盛大なパーティーを開催。ゲルシウ氏は「舌の肥えた、ハイクオリティなものを評価する日本での市場拡大に力を入れたい」と述べていました。

次はワインについて。筆者がホームパーティに持参すると必ずその場にいる人が「これどこの?」と聞いてくるモルドバワイン。そのおいしさの秘訣に迫ります。

実はほとんどオーガニック、理想的なテロワールがぶどうの病気を防ぐ

モルドバのワインは、豊かな自然環境と肥沃な土壌に支えられています。モルドバの大地には石灰や砂利、石膏など、ワイン作りに最適な成分が豊富に含まれており、昼夜の気温差がブドウの成長を助けています。また、同国はフランスのブルゴーニュ地方と同じ緯度に位置し、ワイン作りに理想的なテロワールを誇ります。これが、モルドバワインの豊かな味わいと複雑な風味を生み出す大きな要因となっています。

モルドバではワイン作りが日常生活に深く根付いており、「家庭ワイン」と呼ばれる、個人で小規模に生産されるワインが存在します。実際人口に対するぶどう畑の面積は世界1で、GDPの3.2%そして輸出額の8%を占める国の重要産業である。セルジウ氏も「子供の頃、おじいちゃんと一緒にワインを作ることもあった」と述べ、「家庭ワイン」は同国のワイン作りの伝統と文化を象徴するもので、家族が代々ワイン作りに情熱を注いできた背景が垣間見えます。さらに、モルドバでは化学肥料や農薬を最低限しか使用せず、自然のままに栽培されたブドウでワインを作ることが一般的です。

モルドバワイン輸入を2016年に立ち上げた岩崎優子氏によると、元々「(オーガニック栽培が)当たり前という考えが根底にある」ため多くのワイナリーは認証を持っていない。一方、近年商業用に「EU基準の認証を取ることは少しずつ増えている」と説明し、その品質はインポーターたちからも高く評価されています。Wine of Moldova Japan代表遠藤エレナ氏によると「日照量が多く乾燥した天候に恵まれているので、ブドウの病気が少なく実際に農薬はそれほど必要ありません。」とモルドバがオーガニック栽培がしやすい環境を説明しています。
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