欧州

2024.10.03 18:00

ウクライナ軍、欧州製の貴重な高性能戦車をクルスク州に投入 東部ブフレダルは失陥

ドイツ軍の主力戦車レオパルト2A6。2020年10月、リトアニア・パブラデ(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

ウクライナ軍は8月6日、最大8個の旅団から引き抜いた12個ほどの各400人規模の大隊からなる相当な兵力でロシア西部クルスクに侵攻し、準備の整っていないロシア側の防御部隊を出し抜いておよそ1000平方kmの土地を一気に制圧した。

これはウクライナにとって危険を伴う行動だった。実際、装備の整った残り数少ない温存部隊が越境攻撃に投じられたために、東部戦線や南部戦線の部隊は死活的に必要としている増援を十分に得られなくなった。その直接の結果として、ウクライナはいくつかの重要な集落や都市をロシア側に明け渡すことになった。

最も大きな喪失は東部ドネツク州の都市ブフレダルだ。ブフレダルでは、ウクライナ陸軍の第72独立機械化旅団がぼろぼろになりながらも2年にわたりロシア軍の攻撃に持ちこたえてきたが、火力など兵力で圧倒されて苦境に陥り、今週、激しい砲爆撃が続くなか、ついに撤退した。

ウクライナ軍参謀本部は東部などでロシア軍の前進を許す状況が続くにもかかわらず、クルスク州への侵攻をただ継続するどころか、それにさらに注力した。ウクライナ軍は9月12日、クルスク州のウクライナ軍突出部から西へ30kmほど離れた方面で2回目の越境攻撃に乗り出した。

ベショロエ村周辺のこの新たな攻撃軸では、ウクライナ陸軍の第21独立機械化旅団と第225独立強襲大隊、その支援部隊がロシア軍の守備隊と機動戦を繰り広げている。ウクライナ軍部隊は平原や樹林帯を越えて移動し、ロシア側の防御が脆弱な箇所を探っている。おそらく、東へ進軍して突出部と合流し、ベショロエ村方面と突出部、そしてウクライナとの国境の間に残っているロシア軍部隊を包囲する狙いだろう。

第21機械化旅団と第225強襲大隊にとって、戦闘は厳しく混沌としたものになっている。両部隊はスウェーデン製のCV90歩兵戦闘車や、同じくスウェーデン製のStrv122戦車、ドイツ製のレオパルト2A6戦車をクルスク州に持ち込んでいることが確認されている。これらはウクライナ軍が保有する戦闘車両で最高の部類に入るものだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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