選挙陣営はミームを賢く使うべし
選挙戦において若年層の有権者、中でもテレビ討論会や夜のニュース番組を見ず、政治家の演説会にも参加しない人たちにメッセージを届けるにあたり、ミームは決定的な役割を果たし得る。有権者の間に選挙ムードを盛り上げ、支持層を拡大する効果は大きいかもしれない。「ミームを通じて有権者の考えを変えたり、候補者への協力を取り付けたりすることはできないだろう。だが、候補者に対する有権者の心情をコントロールするのには役立つ」と、ロウレットは指摘した。
「カマラ・ハリス米副大統領の陣営の公式TikTokアカウントKamalaHQは、すばらしい一例だ。どの陣営も支持拡大に苦戦しがちな若年層に響くよう、流行のミームやトレンドを積極的に活用している。この戦略によって投票所に足を運ぶ若い有権者が増えるかどうかに注目したい」
ただし同時に、選挙戦におけるミームの取り扱いには、たとえユーモアに満ちたものであっても注意が必要だろう。演説中に口を滑らせたり、遊説の合間の軽食の注文で判断を間違えたりすると、たちまち不適切なミームが増殖して選挙戦への影響が長引くおそれがある。
たとえばドナルド・トランプ陣営は先月、米人気歌手テイラー・スウィフトがトランプを支持しているかのように見える画像をAI生成し、SNSに投稿した。これは事実とは異なり、逆にスウィフトが正式にハリス支持を表明するきっかけとなった可能性がある。
「ここに微妙な線引きがある」とポワリエは言う。「当然ながら、選挙運動では候補者の明るく気安い人柄を強調し、対立候補との対比を際立たせようとするからだ」
「選挙戦で不真面目だと受け止められるリスクは冒せないが、今やミームが政治的な言論の一部に組み込まれていることは明らかだ。支持者を勢いづけ、無党派層の共感を呼ぶこともできる。報道機関が特定のミームの人気をニュースで取り上げたり、選挙の争点の報道の中でミームに触れたりすれば、無料でメディア露出がかなうという側面もある」とポワリエは付け加えた。
(forbes.com 原文)