伊東:たしかに今もそうですね。平日休日関係なく、ずっと仕事をしているような感じです。
安住:でも今の世の中は、プライベートも仕事も両方充実させる、というのがスタンダードだよね。でも、私たちは今の時代にはあんまり合ってないんだよな。
伊東:合ってないかな……。
それで言えば、安住さんは今年1月に結婚したじゃないですか。仕事に対する腹の括り方が同じ“戦友”だと思っていたのに……なんで急に落ち着こうと思ったんですか。
安住:違うよ、挑戦なの。やったことがないことを経験するという挑戦。結婚生活なんて偉そうに言えるものじゃなくて、別居婚だし予約婚だし……。
伊東:予約婚?
安住:会うときは事前に連絡くださいって。仕事があるときは、急に来られるとやんなっちゃうから。お互いにアポをとって。朝の番組(THE TIME,)が始まって、生活を変えなきゃ駄目だなと思ったから、ちょっと思い切って、
伊東:面白いですね。安住さんは常に「アナウンサー」でいると仰ってましたが、実際に結婚生活を少しでも経験して、本来の「北海道の朴訥として青年」が開放されるようなときはあるんですか。
安住:一応、少し戻ろうとしてて、きっと変わり始めていると思う。
終わりは自分が決めるものじゃない
伊東:安住さんの今の目標は?安住:アナウンサーのピークは体力的に30代前半だから、ここからは今の状態を維持して滑空していくだけかな。
伊東:ステイすることも大変ですけどね。
安住:あとは、走っている者の責任として、斜陽になってしまっているテレビやラジオをまた新しくカルチベートしていくことですね。
伊東:じゃあ、一生第一線ですね。
安住:身体が持つ限りはね。伊東さんは、やりたいことを叶えて画家になったよね。今、個展をやっているとか。
伊東:はい、10月6日まで、新宿の京王百貨店で個展「いつか訪れる 最後の日まで」が開催中です。
私は2021年に画家としてゼロからセカンドキャリアを始めるためにドイツに渡ったんですが、そのときに書いた詩のフレーズをタイトルにしました。当時は孤独で生活もトラブルばかり、友だちもいなければ言語も通じない、どうやって生計を立てるべきかもわからないという状況で、絶望しながらこの詩を書きました。
「3年経ったら絶対に画家なんかやめてやる」と思っていたのですが、今気づけばちょうど3年が経っていて。「終わりは自分が決めるものじゃないんだ」というふうに、捉え方も変わっていました。だからこそ、今回の個展はこれをテーマにしようと思ったんです。
人は生まれたら死ぬように、いつか絶対に終わりはくると思っています。画家は旬のある職業だし。でも、今はその旬をまっとうしようと考えています。