お酒を飲むと、肝臓でアルコールが分解される際にアセトアルデヒドという有害物質が生まれる。これが肝臓内で処理しきれないと、体内に残って吐き気や頭痛を引き起こす。これが悪酔いや二日酔いの原因だ。これまで、タマネギのポリフェノールが持つ抗酸化作用で症状が軽減されると思われてきた。ところが岡山大学は、タマネギに含まれるケルセチン配糖体を腸内細胞が代謝して作られるヒドロキシフェニル酢酸(OPAC)が、アセトアルデヒドから細胞を保護することを明らかにしたのだ。
さらに、ケルセチン配糖体が「抗酸化作用を介さないユニークな経路」でアセトアルデヒドの解毒を促進することもわかった。つまりタマネギにはアルコールの代謝に関して特別な力があったのだ。
フランス人が飲んだあとの「シメ」はオニオンスープだと聞く。この研究では東アジア人特有のALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルなどが使われているため、日本人の体にも有効ということになる。昭和の女子大生はカフェバーでオニオンスライスを食べまくっていたが、それは理に適っていたわけだ。
近ごろ、腸内細菌叢の働きが人の健康や疾患に大きく影響していることが明らかにされているが、ここでもやはり腸内細菌が活躍していた。OPACは安定した物質で代謝されにくく、体の末梢に循環したり多くの臓器に分布する可能性があり、「本研究で明らかとなった腸内細菌代謝物の細胞保護作用に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発が期待されます」と岡山大学学術研究院環境生命科学学域(農)の中村宜督教授らによる研究チームは話している。
プレスリリース