労働に関していえば、人口が減少していくなかで、より質の高い、生産性の向上に貢献できる人材の質を高めることが重要だ。外国から日本への進出を検討する外国企業から、日本では英語が十分話せて、コンピュータ・サイエンスやAIを学習している即戦力になる人材を十分に雇えないというコメントをよく聞く。
小中高におけるネイティブによる英語教育の充実、大学の学部の垣根を取り払いコンピュータ・サイエンス、計量・実証分析、エンジニアリングなどをすべての学生が履修できるようにすることが重要で、これまでの学部縦割りの大学の在り方を大きく転換することが必要だ。当然、大学や文部科学省から大きな抵抗があるだろう。しかし、新総理には文部科学省と戦ってほしい。
有権者は具体策のないレトリック、小手先の改革にはもう飽きている。新首相には具体的な大きな改革提案で日本をリードしてほしい。
伊藤隆敏◎コロンビア大学教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D.取得)。1991年一橋大学教授、2002〜14年東京大学教授。近著に、『Manag i ng Cur rency Risk』(共著、2019年度・第62回日経・経済図書文化賞受賞)、『The Japanese Economy』(2nd Edition、共著)。