HSTが捉えたN11の画像は、輝きが散りばめられた渦巻く赤い霧のように見える。「約1000光年にわたって無秩序に広がったN11のフィラメント群が、恒星物質を互いに織り交ぜている様子は、まるでキラキラと輝く綿菓子のようだ」とNASAは表現している。「綿で織りなしたようなこのガス雲が、急成長している多数の若い大質量星によって電離されていることにより、星雲全体が鮮やかな赤紫色に見えている」とNASAは続けている。1000光年という距離がどのくらいかを実感するのは難しいが、太陽に次いで地球に最も近い恒星のプロキシマ・ケンタウリまでの距離が約4.2光年であることは、知っておくと役に立つ。要するに、N11は巨大なのだ。
N11は、一群の発光星雲で構成されている。発光星雲は、光を発しているガスと塵(固体微粒子)の雲でできている。N11は、大マゼラン雲(LMC)の中に位置している。 LMCは、太陽系が属する天の川銀河(銀河系)に隣接する矮小銀河だ。伴銀河(衛星銀河)とも呼ばれ、銀河系の周りを回っている。比較的小型の銀河だが、内部では星形成が活発に行われている。科学者は、N11内にある恒星の種類と分布に関する理解を深めるために、HSTを利用している。