日本社会のなかでも最も改革が遅れている分野が政治であると言われている。政権与党の裏金問題、首長のハラスメント問題が噴出しているという現状がさらに政治不信を招くという悪循環がますます政治の劣化を印象づけている。いまだ正しい未来が見えないという環境のなか、政治の「新しい仕組みづくり」を目指す若手政治家たちがいる。
一人が、冒頭の東修平氏だ。東氏は外務省、野村総合研究所を経て28歳のときに故郷である四條畷市長選挙に出馬し当選する。現職最年少市長(当時)として、財政再建だけではなく民間人材サービス会社とのコラボによる副市長公募や、コミュニケーションアプリを用いた協働のまちづくりシステムの構築など、新しい自治体のあり方にチャレンジを続けてきた。
もう1人は安野貴博氏である。Forbes JAPAN 11月号「世界を動かすカルチャープレナーたち CULTURE-PRENEURS 30」(59ページ)にも選ばれた安野氏は、東京大学松尾豊研究室出身。ボストン・コンサルティング・グループを経てLLM(大規模言語モデル)を応用実装する企業などを連続起業、さらには執筆したSF小説では新人賞受賞という才人、まさに「令和のダ・ヴィンチ」だ。
2024年には東京都知事選にも出馬、得票数15万票で「第5位」となる。AIを駆使しデジタル民主主義の実現を目指したその選挙戦には、台湾の元デジタル発展省大臣オードリー・タンも熱視線を送るなど話題のニュータイプ政治家だ。
なぜ二人は政治の新しい「仕組みづくり」に挑戦するのか。Forbes JAPAN編集部と四條畷市をつないで、その真意を聞いた(聞き手・文=赤石晋一郎/ジャーナリスト)。
時の潮目が変われば政治家も変わるべき
──25日の発表は驚きました。2期で市長を退任されるとか。東修平(以降、東):じつは9月25日に都内で記者会見を開いて四條畷市長を今季限りで退任させて頂くことを発表させていただきました。さらに私が退任にするにあたり、次の市長候補を全国公募することも同時に公表しました。新しい人が地域のリーダーとして誕生していける流れを作っていきたい、というのが僕のねらいです。
政治は参入障壁が高い世界です。既存政党の支援だとか、2世、3世であるなどのバックグラウンドがなければ政治家になるのは非常に難しい。出馬するための資金面、不慣れな選挙で戦わなければいけないという壁もあります。新しい人材が政治に挑戦しやすくなるように、参入障壁を取り払うような「仕組み」づくりが必要だと考えています。