北米

2024.09.27 10:00

ついに利下げに踏み切ったFRB、米労働市場への影響は

FRBは利下げで、雇用創出への強い意志を示す

今回の50BP(0.5%)という金利の引き下げ幅は、経済成長を刺激したいというFRBの強い意向を示すものだ。一般的に、金利が下がれば、企業にとってはより安いコストで借り入れが可能になり、事業の拡大や新たなプロジェクトへの投資を促し、それがひいては従業員の増員につながる可能性もある。こうして経済活動が活性化すれば、広範囲なセクターで雇用創出につながることが期待される。

消費者に関して言えば、利下げは消費の刺激につながる可能性がある。財やサービスへの需要が増大し、この需要に応えるためにより多くの従業員が雇用されるというシナリオも考えられるだろう。

多くの場合、経済状況が良いと労働市場の競争は激化する。事業が拡大していくなかで雇用主は、人材を引きつけ、つなぎ止めるために、より高い賃金を提示する必要が生じることもある。そうなれば、給与額の交渉において、労働者側の立場はより強くなるはずだ。生活費が上昇するなかで、従業員は、自身の購買力を維持するために、より大幅な給料の引き上げを要求するかもしれない。

経済が成長局面にあるなかでは、従業員は、雇用主を変えることになってもかまわないと考えやすく、昇給や昇進、キャリアアップに関して、より強気の態度で臨むことも考えられる。「大離職時代」の時期には、実際にこうした現象が起き、多くの労働者が自主的に職を辞していた。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、米国の労働力に大きな転換を促すきっかけとなった。2021年には4780万人が、続く2022年には5000万人以上の従業員が仕事を失っている。

金利の引き下げは、労働市場の安定化につながるかもれない。レイオフされるリスクが軽減され、仕事の安定性が強化されるからだ。企業も、借り入れや投資にかかるコストが下がるとなれば、現在のスタッフを引き留め、新しい役職を作ることを考える可能性が増すだろう。

さらに住宅ローン金利が下がると、住宅の建築が促され、その分野の雇用が増える可能性もある。

このように、利下げはおおむね雇用促進にとってプラスの効果があると見られている。ただし、その効果に関しては、より広範な経済的状況に左右され得る。具体的には、企業の景況感やより低コストで調達可能になった資本を各社がどう使うかといった部分だ。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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