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2025.01.29 10:27

「行く」の敬語表現とは?尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けとビジネスシーンでの使い方を例文付きで解説

「行く」の意味とは?

「行く」は「ある場所へ向かう」ことを指す一般的な動詞です。ビジネスシーンにおいては、上司や取引先、顧客とのやり取りで、単に「行きます」だけでは失礼に感じられる場合もあります。そこで尊敬語や謙譲語、丁寧語といった敬語表現を正しく使い分けることで、相手への敬意や自分の立ち位置を明確に示すことが可能になります。

「行く」に対する敬語は、大きく尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。尊敬語は相手の行動をうやまって表現する形、謙譲語は自分(または自分側)の行動を下げることで相手を高める形、丁寧語は「です・ます」など形式的に丁寧に表現する形を指します。
ただし、実際の会話やメールでは状況や相手との関係性に応じて、どの敬語を選ぶかを慎重に判断する必要があります。


「行く」の尊敬語

「いらっしゃる」の意味とは?

「いらっしゃる」は、相手が「行く・来る・いる」といった動作をする際に、敬って表現する尊敬語です。相手が移動する動作に対し、丁寧に「行く」を言い換えたいときに用いられます。
例えば、「明日の説明会には、部長もいらっしゃいますか?」といった形で、相手がその場へ行く予定かどうかを尋ねるときに使われます。ここでの「いらっしゃいます」は「行く・来る」の尊敬語にあたり、相手の存在や動きを高めて表現しています。

「おいでになる」「お越しになる」の意味とは?

「おいでになる」「お越しになる」は、「いらっしゃる」と同様に「行く・来る」の尊敬表現です。

  • 「おいでになる」はやや柔らかい印象の言葉で、相手に「行く」「来る」動作をうやまって表現したいときに用いられます。
  • 「お越しになる」は相手がどこかに向かって来ることを尊敬語で示すときに使われるのが一般的ですが、「行く」という動作にも転用できる場合があります。

たとえば「来週の研修に、取締役もお越しになるそうです」といった形で、相手の動作に敬意を込めることができます。

「行く」の謙譲語

「伺う」の意味とは?

「伺う」は、自分(または自分の所属する側)が相手のところへ「行く・訪問する」ことをへりくだって表現する際の謙譲語です。「自分が行く」動作を下げることで、相手を立てる効果があります。
例として「明日、御社へ伺います」と言えば、自分が訪問することを相手に対して丁寧に伝える形となります。

「参る」の意味とは?

「参る」は、謙譲語の中でも比較的フォーマルな印象を与える言葉で、「自分が行く」という動作を低く抑えて表現する場合に用いられます。
たとえば「明日の会議には私が参ります」といえば、先方との関係において自分の行為をしっかりへりくだって伝えていると理解されます。上司や外部のお客様へ報告するときなど、かしこまった場面でよく使われるフレーズです。

「行く」の丁寧語

「行きます」の意味とは?

丁寧語は動詞を「〇〇ます」形にして、敬意を込める方法です。「行く」の丁寧語は「行きます」となりますが、尊敬や謙譲のニュアンスはあまり含まれず、あくまで言葉を丁寧に言っているだけです。
ビジネスシーンで上司や取引先から「いつ来られますか?」と尋ねられた場合に、「○時ごろに行きます」と答えるのはごく一般的な言い回しですが、相手の地位やシチュエーションによっては「伺います」「参ります」といった謙譲語を使うほうが適切なこともあります。

「まいります」の意味とは?(謙譲語+丁寧語)

「まいります(参ります)」は謙譲語でありながら、丁寧な印象も併せ持ちます。従って、社内外を問わず「自分が向かう」という場面において、最も無難で重宝される表現と言えます。
例として「会議室へまいります」なら、謙遜と丁寧さが両立でき、ビジネスのあらゆる相手に対して使いやすい表現です。

ビジネスシーンでの使い分け方

相手が社外の上位者・取引先の場合

社外の取引先や目上の人物など、相手が自分よりも立場が上である場合には、尊敬語または謙譲語をうまく使い分けることが望ましいです。

  • 相手の行動を述べるとき:いらっしゃる / お越しになる
  • 自分の行動を述べるとき:伺う / 参る

こうしたルールに沿って表現を選ぶことで、適切な敬意を示すことができます。

上司や先輩、社内の目上に対して

社内でも上司や先輩に対して自分の行動を説明する際には、謙譲語や丁寧語を使うと円滑なコミュニケーションにつながりやすいです。
例えば、自分が部長のオフィスへ行く場合は「部長のところへ伺ってまいります」と言えば、丁寧かつへりくだった印象を与えられます。一方、上司の行動を表現する場合は「部長は先ほど会議室へいらっしゃいました」というように尊敬語を使うようにしましょう。

フランクな会話・同僚間のやりとり

同僚や親しい部下・後輩同士の会話では、「行きます」や「行く」というカジュアルな表現で問題ない場合が多いです。ただし、社内でも他の人がいる前や正式な場面では、最低限「行きます」を使った丁寧語にするなど、TPOをわきまえることが重要です。
あまりフランクになりすぎると、周囲に軽んじられたりマナー違反と見られる恐れもあるため注意しましょう。

例文で見る「行く」の敬語表現

例文1:取引先へ出向く場合

「明日の午後、御社へ伺いますので、よろしくお願いいたします。」 →「伺う」で自分が取引先に「行く」行為を謙遜して伝えているため、相手に敬意を示せます。

例文2:上司が会議に向かう場合

「部長は先ほど会議室へお越しになりました。」 →上司の行動を尊敬語で表現する例。相手の動作を高めて表現するため、「いらっしゃる」「お越しになる」などが適切です。

例文3:社内外での案内メール

「来週の説明会には私が参ります。ご不明点があれば事前にお知らせください。」 →自分が出席するという行動を丁寧かつ謙虚に示している例。「まいります」は堅苦しさを抑えつつも謙遜と敬意を表すことができます。


まとめ

「行く」はシンプルな動詞ですが、敬語として伝える場合は尊敬語・謙譲語・丁寧語を状況に応じて適切に選ぶ必要があります。相手や場面によって「いらっしゃる」「お越しになる」「伺う」「参る」「行きます」といった表現を使い分けることで、正しく敬意を示しながらスムーズにコミュニケーションが図れます。

特にビジネスシーンでは、相手が社外の立場や社内でも上司にあたる場合は、尊敬語と謙譲語をしっかり使い分けることが重要です。一方、同僚同士であれば「行きます」程度の丁寧語でも問題なく使えるケースもあります。

正しい敬語を使いこなすことで、会社内外での信頼関係や評価が高まるだけでなく、スムーズなやり取りが可能になります。相手の役職・状況・周囲の雰囲気を見極めながら、今後も敬語表現を上手に活用してください。

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