火星と木星の間にある小惑星帯で最も明るい天体の1つであるプシケで、水酸基(OH)分子が見つかったことは、科学者の予想とは異なる、複雑な歴史を持っていることを示唆している。水酸基分子は、1つの酸素原子と1つの水素原子からなる。
プシケを構成する金属は、約1000京ドル(1京は1兆の1万倍)の価値がある可能性があるといわれている。データ分析サイトのビジュアルキャピタリストによると、世界経済の国内総生産(GDP)は2023年末に約105兆ドル(約1京5100兆円)に達した。だが、NASAも他の宇宙機関も現在のところ、プシケを採掘する方法の研究は進めていない。
破壊的な衝突
プシケは、原始惑星が惑星になる前に破壊的な衝突を経験し、金属の核の部分が露出した状態にあるものと、科学者はこれまで考えていた。だが、今回の発見によって、太陽系の「スノーライン」の向こう側で形成され、小惑星帯に移動してきた小惑星の可能性も浮上することになるかもしれない。スノーラインは、惑星系の中心星(太陽)から離れるほど低くなる温度が、水が固体の氷になるほど低温になる境界までの、太陽からの最短距離のことだ。今回の発見は、NASAの探査機サイキが到着する2029年以降にプシケで何が見つかるかだけでなく、太陽系全体で水がどのように分布しているか、ひいては地球外生命の探索に対しても、示唆を与えている。