事業継承

2024.07.23 16:45

老舗企業の倒産相次ぐ、上半期過去最多の74件

100年以上続く老舗企業の倒産が急増している。100年以上も事業を続ける日本の企業は4万社以上あり、毎年右肩上がりで増え続けている。その一方で、激しい経済情勢や後継者問題、コンプライアンス違反による幕切れなど、さまざまな要因で倒産する企業もあり、老舗という看板だけでは続けることは難しくなっている。

そうした中で、帝国データバングによると2024年上半期の老舗企業倒産数が過去最多の74件に上っていることがわかった。業種別に見ると、製造業が22件、小売業が21件で清酒製造や生菓子製造といった日本の伝統的な産業のほか、スーパーや百貨店など両業種で6割近くを占めている。



倒産した企業について掘り下げてみると、20年以上にわたって粉飾決算をしていたことが発覚した、1872年創業で業歴150年の白井松機器のほか、雇用調整助成金の不正受給が発覚して会社更生法の適用を申請した、1900年創業の衣料用繊維織物の製造販売を手掛けるプロルート丸光など、コンプライアンス違反で暖簾を下ろすことになっている。

ほかには、仕入れ価格の上昇により収益が悪化した物価高倒産が14件、後継者不足のため事業継続の見込みが立たなくなった倒産が11件となっており、事業継続の難しさもあらわになっている。

業種にもよるが「老舗」という言葉は、昔からみんなに愛され、ここを選べば間違いないというイメージが強いが、時代に合わせて企業体質を変えていく必要があり、伝統を守るのであれば後継者の育成に力を入れるなど、努力を怠ったらすぐに事業継続困難に陥ってしまう。未来を予測するのは難しい時代、広くアンテナを張って未来永劫続けられるような企業づくりを目指してほしい。

出典:帝国データバング「100年経営「老舗企業」の倒産動向調査(2024年上半期)」より

文=飯島範久

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