経営・戦略

2024.08.01 11:15

斬新さは不要 5000件の提案書を見たトップコンサルの「勝つ提案」

Getty Images

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スタートアップを中心にビジネスのトレンドを、メールで隔週お届けしている「Forbes JAPAN Newsletter」。本連載では、その内容をピックアップして紹介します。

今回は、スタートアップのCxOを歴任した植野大輔さんによる「大胆不敵なキャリア戦略」コーナーで全8回にわたって配信した「勝てる提案書」を掲載します。


「金融庁の調査プロジェクト」コンサル、3500万円も!

少し前までは、知る人ぞ知るであったコンサルティングの世界。しかし、この数年で市場は活況になり、またキャリアの選択肢としてもメジャーなものになりました。

では皆さんは、そのコンサルのプロジェクトの報告書を、ご覧になったことはあるでしょうか?

最近は、経営アジェンダだけでなく、業務的なテーマまで幅広く扱うようになりましたが、経営上の機密を扱うこともあって、クライアント名すら滅多に明かされることはありません。

そんななか、戦略系を含む大手有名コンサルの高額プロジェクトの最終報告書を見るチャンスがあるのです(それも金額を含めて!)。実は、官公庁もたくさんのプロジェクトをコンサルに依頼していて、それらは国の予算を利用したプロジェクトであるため、しっかりと情報公開されています。

例えば、経済産業省のこのページでは、経産省がコンサルファームに委託した調査がいくつも掲載されています。このExcelには、入札金額までも書かれています。ちなみに個人的な一押しは、私の故郷でもあるBCGが手がけた、金融庁による日本のインターナショナルスクール調査のプロジェクト(お値段、3500万円!)。

ここで注目したいのは、各プロジェクトの金額です。官公庁向けは、民間企業向けのコンサルティングよりだいぶ低価格なことが多いのですが、それでも、ほとんどが1000万円以上で、ときには5000万円のような調査案件も。

私のもとに、さまざまな企業から「提案力を向上したい」という相談をよく頂きます。その際、決まって聞かれるのは「こんな高額プロジェクトをコンサルはいかに提案して、受注ができているのか?」ということです。

ご存知の通り、コンサルとは、知恵を売るプロフェッショナルサービス。最後に報告書という分厚い紙の納品物はあれど、提案を受けている際には、目に見える実態はありません。

では、そんな実態のない数千万円のサービスをいかにして売るのか!?

その秘密に迫るために、コンサル提案を日本で最も知り尽くすPROFFITの関根有社長にインタビューを敢行しました。PROFFIT社は、コンサルサービスの提案プラットフォームです。クライアントがコンサルへ提案・依頼したい事項を送ると、業界トップの戦略コンサルをはじめ約400社からの提案を集めてくれ、面談設定までサポートをしてくれます。クライアント側は無償ということもあり、PROFFIT上に積み上がった提案書は累積5000件!

極意1:「説教/マウント」スタイルから「寄り添い」型で顧客の心を掴む

関根さんに、ズバリ聞きました。「勝てる提案書というのはあるのですか?」

「あります。厳密に言うと、提案書で50%、提案の仕方で50%という印象です」

そのなかでも、数千万円の高額プロジェクトで提案の勝敗を一番分けるのは、「クライアントを凌駕するオーナーシップ」であるとのこと。コンサルタントが、クライアント以上に経営課題を自分事として向き合い、クライアント以上に考えまくって生み出される解像度と熱量のある提案が、最後に選ばれて行くというのです。
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文=植野大輔

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