1.クライアントの課題整理
2.解決策の方向性(仮説)
3.検証アプローチ(検討事項)
4.進める上での留意点
5体制・見積もり
の5つは、ほぼ全てのコンサル会社の提案書に盛り込まれているといいます。
勝てない提案をしてしまう人は、つい3.の検証アプローチの作業内容や成果物のボリューム、5.のどういうメンバー体制で臨むかという、見えやすいところを充実させがちなのだそうです。
「実際は、提案書の“掴み”が勝敗を決めています。数十ページの力作の提案書を作っても、最初の数枚を見て終わり、最後まで読まれないケースがたくさんあるのです」
そうすると、知りたくなるのが、いかに最初の数枚で“掴み”を作れるかです。
「掴むポイントは2つ。1つ目は、“正拳突き型”ではなく、”寄り添い型”の姿勢を示すことです」
以前のコンサル提案は、クライアントからの与件を受け、海外先進企業や競合企業との差分を合理的に課題分析し「このギャップ解消をしましょう!」と“正拳突き”の提案が多かったそうです。ときに、説教スタイルとも言われるコンサル側がマウントを取るやり方です。
しかし、最近好まれるのは「うまく行かないのは、こういう事情があるのではないか」「本当は、こういうところに苦労されているのではないか」などなど、クライアントの悩みを深く深く理解し、寄り添いながら一緒に解決しに行く姿勢を見せることだというのです。
「最初に、この寄り添い型を理解してもらったうえで、掴むポイントの2つ目である、解決策の仮説につなげていくことで、確実に顧客の心を掴んでいきます」
極意2:顧客の心を掴むのに、斬新な企画は不要
顧客の心を掴むポイントの1つ目「寄り添い型の姿勢」に続く、掴むポイントの2つ目は、提案書に不可欠な「解決策の仮説提示」の仕方。関根さんによると、「解決策の仮説提示」で、陥りがちな罠が2つあるとのことです。
1. とにかく表面的なMECE(漏れなく、ダブりなく)さ、網羅性を重視して一般的な解を羅列した提案書
2. 斬新な企画アイデア一発で何とかしようとする提案書(広告代理店系の会社にありがちらしいです……)
たしかに、真剣に悩んでいるクライアントとしては、平凡な一般解、おもしろ企画を出されても、ガッカリしてしまいますよね。
これらの罠を回避したうえで、では、いかにしてクライアントの期待を湧き起こす解決策を示せば良いのか?
“はじめの一歩”と“強み活用”の2つが、解決策の仮説を示す上での最重要キーとなるようで、関根さんはこう言います。
「深い悩みを理解したうえで、MECE的に複数の解決策オプションを出す。そうしながら、『まずはここだけは、やりましょうよ』と”はじめの一歩”を明示すると、クライアントも解決策の海に溺れず、スタートを切りやすくなります」
なるほど、網羅性は重視しつつ、MECE的に複数のオプションを示しながらもそこから「絞って」提案することが重要なわけです。
「さらに、悩みの理解に加えて、ときにはクライアントが無自覚、過小評価しがちな強みをしっかりと捉えてあげることも重要です。『御社は、この強みを生かしてこんなやり方ができますよ』という提案は、クライアントに希望を与えてくれます」
まずは正拳突きでマウントを取るような姿勢は控える。そして、一般解の羅列やおもしろアイデアに走らず、とにかくクライアントが踏み出しやすい、そして強みを自覚することで希望を抱く解決策を「寄り添い型」で示してあげる、これに尽きるということですね。
ただ、関根さんによると、実は提案の勝敗は、提案書の中身以上に提案の持って行き方(デリバリー)に左右されるといいます。後編では、そのデリバリーの3大鉄則を紹介します。
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