妊娠初期(第1期)に新型コロナウイルスワクチンを接種しても、胎児に重大な先天異常が現れる可能性には影響がないことが、医学誌「米医師会紀要(JAMA)」に1日に掲載された論文から明らかになった。
全米にまたがる研究チームは、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、コロラド、ミネソタ、ウィスコンシンの各州の8つの医療機関のワクチンデータベースに登録された、2021年3月初旬~22年1月下旬までに出生に至った4万2000件以上の妊娠に関する医療情報を分析。その結果、米製薬大手ファイザーとモデルナによるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いた新型コロナウイルスワクチンを妊娠初期に接種しても、胎児の目や耳、神経管、腎臓、呼吸器系、筋骨格系への重大な先天異常のリスク増加には影響しないことが判明した。
妊娠第1期は、有害な暴露があった場合、胎児に先天異常が最も発生しやすい時期の1つだとされる。今回の研究では、対象者の約5分の1に当たる約7600人が妊娠第1期にmRNA新型コロナウイルスワクチンを接種、1万9000人は妊娠前や妊娠中に同ワクチンを接種せず、1万3500人は妊娠第2期または第3期に接種したが、第1期には接種していなかった。
妊娠第1期にワクチン接種を受けた妊婦のうち約1350人が2回目のワクチン接種を受けた。うち約46%は妊娠第2期または第3期に2回目のワクチン接種を受け、約20%は3回目のワクチン接種も受けていた。
研究チームは、今回の結果は、妊娠初期にワクチン接種をしても構造的な先天異常のリスクは増加しないことを示すものだと強調。これは英スコットランドやイスラエルで行われた、母親のワクチン接種と胎児の先天異常との関連を包括的に分析した先行研究の結果と一致すると説明した。その上で、今回の研究結果はファイザー製とモデルナ製の新型コロナウイルスワクチンのみを対象としたものだが、妊婦や産科医に安心感を与えるものだと評価した。