ジュール・ヴェルヌの小説にありそうな話だが、1979年には実際にスペインとモロッコの間でこの計画について最初の話し合いが持たれた。1981年まで実行可能性調査も行われていたが、この計画はそれ以降、進展を見ることがなかった。
だが、スペインとモロッコは現在、この野心的な事業を再検討している。その主な契機は2030年のFIFAワールドカップが近づいていることだ。ワールドカップ100周年となるこの大会は、初めて二大陸にまたがる三カ国の共同開催となる。ヨーロッパ大陸のスペインとポルトガル、そしてアフリカ大陸のモロッコだ。そのため、サッカーファンはできるだけ迅速かつ効率的に、これらの国々の間を移動して試合を観戦したいと思うだろう。21世紀の驚異的な技術がそれを可能にするかもしれない。
モロッコの国立海峡研究会社(SNED)は「ユーロ・アフリカ、ジブラルタル海峡固定連絡線」と呼ばれる計画の実行可能性の調査を開始すると発表した。スペインでは、ジブラルタル海峡横断固定通信研究協会(SECEGSA)の後援を受け、2023年に同様の研究が始まっている。
この計画が再検討されるきっかけとなったのは、モロッコがカサブランカとタンジェを結ぶ初の高速鉄道を完成させたことだ。これは今やアフリカ大陸で最も速い鉄道というだけでなく、モロッコが新たに重要な鉄道の計画に挑戦する準備ができていることを証明するものでもある。